湊月くんの甘い溺愛に困っています

「へぇーケンカなんて想像できないなぁ。ねぇ、そういう時ってどっちが先に謝るとかあるの?」

「うーん、基本湊月くんが多いですね。わたしが一方的に怒ること多いので」

「ははっ!その姿、目に浮かぶ。あぁ、なんか羨ましいなぁ」



肘をついてまだ降り止まない雨を窓越しに見つめる白石様。その目はどこか寂しそうに見えた。

白石様なら対等に競えあえる友人はたくさんいるなんて勝手に思ってたけど、やっぱり違うんだ。

王子の仮面を被った彼はまだ腹を割って、本音を話せる存在がいない。時折見せる暗い表情は彼の本当の心を表している。

笑顔が嘘に見えるのもそのせいだろう……。こんな風に話していてもどこかよそよそしい。



人に対して不慣れなところは湊月くんと似ている。あれだけ沢山の人と触れ合ってきているのに彼の中ではまだ気持ちを押さえ込んでいるんだ。

湊月くんもそれに気付いている。そして白石様が抱えているものを取り除けるのは、同じ経験をした自分しかいないってこと。

彼なりに伝えたいものがあるから映画のオーディションを受けることを決めたんだ。