湊月くんの甘い溺愛に困っています

「あまり考え過ぎないようにした方がいいですよ。役にこだわればこだわるほど、いい演技は出来ない。余計な足を引っ張るだけだ………」


演技のことを語る政也は黒いモヤのようなものを滲みさせていた。演技に対して真剣に向き合ってきた彼は貪欲に追い求めてきた。

その結果が今の人気だ。政也は業界の全てを知り尽くしている。だからこそ見えない敵には敏感で、俺にそれを味わってほしくないんだ。

自分が経験した、辛い経験を………。


「政也、ありがとう。少し気持ちが楽になったよ。考えすぎるのもダメなんだな」

「…っ!驚きました。俺にもそんな顔を見せるんですね。てっきり夢ちゃんにだけだと」


一体俺はどんな表情していたんだ?夢にだけってことは少しは硬くならずに済んだのか?

他人に対してあまり微笑まない俺だが、政也には気を許せているみたいだ。


「そうだな俺も不思議だ」


政也は自分に似ている部分がある。いや、理由はそれだけじゃない。ほっとけないんだ。表に出せないほど重いものを抱えている政也が………。

夢ならこんな時、どうするだろうか。政也に対して俺が出来ることを探すのもこれからの俺の課題だな。