湊月くんの甘い溺愛に困っています

顔合わせという名の自己紹介が終わり、そのまま本読みに入る。お互いがどんな演技をするのか知る機会でもある。プロと素人の差がここで判明するんだ。



ーー小1時間ずっと台本を読みっぱなし。そろそろ疲れが出始めてくる頃だ。なのに、政也や小坂さんたちは疲労感を全く見せない。

むしろようやく喉が開いてきたと言わんばかりのいきいきとした表情をしていた。

体力の差も大きいんだ。初日にして、多くの課題がくだされることになった。

演技でも俺が1番下手で、何度も(つまず)いて止めることになってしまった。


昼休憩になりスタッフさんから弁当が配られた。控え室で台本を読みながら食べているとなぜか俺の前に政也が座ってきた。


「随分熱心に読んでますね」

「読まなかったら頭に入らない。それよりなんで俺の前に座っているんだ?さっきまで女優さんや女性のスタッフさんたちと居ただろ」

「たまには同性との会話を楽しみたくてね。それに湊月さんが1人なのが可哀想に見えて…やっぱり夢ちゃん居ないと寂しいですか?」


そういう事か。わざわざ来るなんて変だと思った。可哀想って言いながら目は笑っているのは俺をからかいに来たからか。


「別に寂しいなんて思ってない。今は役に集中しなきゃいけないんだ。足を引っ張るのは今日までにしたい」