湊月くんの甘い溺愛に困っています

湊月くんいるかな?


ドアに手をかけたその時だった。実験室から湊月の声が聞こえてきた。誰かと話しているらしい。女性の先生?いや、理科の先生は男性と聞いていた。


だったら、中にいるのは誰だろう?ドアを静かに開けて小さい隙間から中を覗く。


中にいたのは湊月くんと私服の女の子。きっと単位制の子なんだろう。

小柄で華奢。顔も可愛くて、いかにもモテそうな容姿をしていた。髪ツヤツヤ。どうやったらあんなに綺麗になるのかな?


「神尾くん」


などと考えていると、女の子の方から話を始めた。


「なに?わざわざこんな所に。俺待ち合わせしてるんだけど」


空気が重くなるような低い声。耳慣れない声に思わず身体に力が入る。

怒ってる姿あまり見たことなかったな。基本、優しいししっかりしているように見えて物事に対して無気力な感じだからある意味新鮮かも。


「昨日の返事が聞きたくて」


昨日の返事?…もしかして!


驚いて声が出そうになった。口を手で抑える。動揺が現れ肩がドアにぶつかる。慌ててしゃがみこみ、身を縮こませる。


「それには応えられない。昨日も言ったはずだ」


やっぱり。湊月くんはあの子に告白されたんだ。帰りが遅かった原因はきっとこのこと。


「でもやっぱり諦めきれなくて」

「ごめん。それでも気持ちには応えられない。俺行くから」