若手人気俳優の白石政也様。人あたりの良さと大人顔負けのルックスに涼やかな笑顔。王子キャラが売りのひとつ上の男子。

人気や信頼性、自然な演技に一時は心を奪われそうになった。だけどそんな白石様にはわたしたちの裏の顔があるのかもと、あの時思った。

学校を出る時に言われた“またね”には感情を感じなかった。冷たくて今にも震え上がりそうな……恐怖を覚える感覚。


「白石政也には感情を感じない?」

「うん。いつも笑顔なのにどこか冷たい感じがあって。それがなんか怖いなって」

「有名人だし素は隠してるんだろう」


王子キャラが定着しているから素を…?十分有り得る話だ。じゃあ白石様は何時、自然体でいるんだろう?学校でもあのままってことは素を出せる人がいないってことだよね?

そう考えると白石様って………。


「夢。ゆーめ」

「……あ、ごめんね。どうしたの?」


湊月くんの方に振り向いた瞬間、急に距離が縮まって口にキスをされた。しかも一度だけではなく何回も。一瞬触れるだけの優しいキス。

力が抜けて膝から崩れ落ちそうになる。瞬時に腰を支えてくれた湊月くんのおかげでケガをせずに済んだ。


「みつ、きくん……?」

「俺と居るのに、他の男のことなんて考えるなよ。……夢、最近俺のこと忘れすぎ。白石様、白石様って夢の彼氏は俺だろ?」