「お疲れ様でした。これにてクランクアップとします」

「お疲れ様でしたー」

「お疲れー」


たくさんのスタッフさんからの拍手がSky全体に鳴り響く。休憩後、湊月くんは見事役をやり切り、空野社長からもお褒めの言葉を頂いた。


「素晴らしかったよ神尾くん。さっきとは大違いだ…!」

「ありがとうございます。なんとか形になって良かったです」

「それは本当に君が恋をしていたからじゃないかな?」


空野社長がわたしの方を見てきた。なんだか分からないけど、無事に終わることが出来て良かった。

ホッと胸を撫で下ろしていると、撮影を終えた湊月くんがわたしのもとへとやってきた。


「湊月くんお疲れ様。最後凄かったよ。わたし、見ててドキドキしちゃった」

「夢のおかげだよ。こっちこそありがとう。夢が支えてくれたら形にすることが出来たんだ」

「そんなこと…湊月くんが最後まで諦めないで頑張ったからだよ。わたしは何もしていない」

「夢知らないんだ」

「何が?」


耳元までしゃがんで湊月くんは言った。


「俺の原動力はね、夢自身なんだよ」


…っ!!


「行こうか。空野社長が皆にご飯奢ってくれるって」

「う、うん…!」


今の……


ーー『俺の原動力はね、夢自身なんだよ』


どうしよう、嬉しい。

それに…甘い、甘いよ湊月くん。

甘すぎて、溶けちゃったらどうしてくれるのよ。


この日から湊月くんはわたしを困らせるきっかけとなった。