湊月くんの甘い溺愛に困っています

「夢、ちょっと来て」

「み、湊月くん…!?」


腕を引かれてやってきたのはSkyの裏側。人通りが少なく、少し薄暗い。


疲れているなら椅子に座っていた方が…。


「湊月くん疲れているでしょ?お水持ってこようか?」

「いい。夢、ちょっと我慢してて」

「我慢……えっ?!湊月くん!?」


倒れ込むように抱きついてきた湊月くん。体重をなるべくかけないようにしているつもりみたいだけど、その重みから彼の疲労感が伝わってくる。


こんなになるまで頑張ってたんだ。


背中に腕をまわしてそっと撫でると、腕の力がまた強くなった。すると……


「ーー爽やかなんて俺のキャラじゃないし、何回もリテイクして…もう何が正解か分からなくなった」


弱々しい本音が湊月くんの口から漏れた。


弱音を吐いたのなんて、これが初めてだ。湊月くんがこの日までに頑張ってきたのは分かっている。何度も一緒に練習したから。

けど、それを認められないのが芸能という世界。素人のわたしたちはその厳しさを今日の撮影で痛感した。

だからこそ、力になりたい。わたしに出来ること、最小限でも湊月くんのために何かしたい。


「湊月くん、もう一度やってみよう。今度はわたしと」

「夢と?」

「うん。わたしならどこが違うのか、どれが正しいのか分かると思う。一緒にたくさん練習したし。それに、わたしは湊月くんの彼女だよ。いい練習相手になると思うよ」