湊月くんの甘い溺愛に困っています

いつも置いてかれているよう、寂しい気持ちがあったのは今でも覚えている。

高校生になってからも…いや、高校生からは毎朝起こすのが日課になっているから寂しい気持ちはこれっぽっちもない。

遠かった存在が、とても近くに感じて、胸に空いていた穴が気づけば湊月くんでいっぱいに埋まっていた。

わたしは常に湊月くんで満たされていたけど、今の湊月くん自身はそれを感じない。

CMのことで頭がいっぱいでさっきまでの笑顔が無くなっている。

わたしがしっかりしないと。湊月くんの彼女はわたしなんだから。


「湊月くんさ、覚えてる?“あの日”のこと」

「あの日?…もしかしてあれ?」


ーーあの日


わたしがまだ小学3年の頃のお話。クラスの男子にいじめられて泣いて帰ってきた時、湊月くんが怒ってくれた。

傷だからで帰ってきた湊月くんはコンビニでロールケーキ買ってきてくれて、その後一緒に食べていつの間にか涙を忘れて笑顔になっていた。

それからロールケーキはただのロールケーキじゃなくて、“笑顔のロールケーキ”って言うようになった。


「“笑顔のロールケーキ”。だから夢は俺に」

「うん。わたし、悩んでいる湊月くんより、笑顔の湊月くんが好きだから。あの時、助けてもらった分、今度はわたしが湊月くんを支えるよ」