「今はダメ。夢にこんな姿見られたくない…」

目を覆っていく手はゆっくりと離れ、隙間から表情がようやく見えた。

あっ…!


「見ないでよ。あぁ、もう、だから隠してたのに。こんなかっこわるいところ夢にだけは見られたくなかった」


顔だけじゃなくて耳もわたしよりも遥かに赤く染っている。

無口で無愛想な湊月くんにこんな一面があったんだ。必死に照れ隠しをしている姿はなんだか可愛く見えてしまった。

腕を首に当てて顔を見せないようにしているけど、わたしにはバレバレだよ。


「ふふっ、湊月くんの照れた顔初めて見た。可愛い」

「あんまり年上からかうと痛い目見るよ?」

「湊月くんなら怖くないも〜ん」

「へぇ〜?じゃあ、何されても文句はないね」

「え?みつ、きくん…??」


不意に顔を近づけられて目をギュッとつぶると額に柔らかい感触が。それから頬、最後に耳へと順番に触れる。

「んっ…!」

「どう?分かった?年上からかうと、こういうことになるんだよ」


思い知ったわたしは言葉を返すことができなかった。触れられた場所に感触が残って熱い。

これからは言葉に気をつけよう。あれ以上されたら身体が持たない。でも湊月くん、口にはしてくれなかったな。

わたしにはまだ早いってこと?ううん、深読みはダメ。湊月くんはわたしのことを第一に考えてくれてる。

気持ちを忙したところで結果は見えている。今は少しずつ変わっていく変化に慣れることが大切なんだ。