湊月くんの甘い溺愛に困っています

「…ふぁ〜い」


返事と欠伸(あくび)が同時出てる。普通なら間抜けに感じるけど、何故か許せてしまうのが恐ろしい。

着替えを待つ間リビングのソファーに座って友だちからのメッセージを返していた。しばらくすると湊月が降りてきて、洗面所に向かう。

それに気づいたわたしは同じく洗面所に向かって、湊月くん愛用のヘアブラシとスタイリング剤を手に寝癖を直し始めた。


「ありがとう夢。ほんと、助かるよ」

「もう、寝癖くらい自分で直せるようになってよね!?毎朝整える私の身にもなってよ」

「俺は夢にやってもらう方が好きなの。丁寧で優しいし」


嬉しい言葉に思わず手を止めてしまった。トクんと鳴る胸が少しずつ熱くなる。鏡に映る自分の頬は赤く染まっていて、湊月くんと目が合ったが、見られたくなくて逸らしてしまった。


「夢どうしたの?もしかして照れちゃった?」

「もう!湊月くんが変なこと言うからでしょ!?はい、終わったから学校行くよ!」


バクバク鳴っている胸を抑えながら、先に外へ出た。風で火照ってしまった頬を冷やす。準備を終えた湊月が家から出てきた。


シワひとつない白シャツ、黒ブレザーと赤色のネクタイ。長身の湊月くんはそれを完璧に着こなしている。