「もう、起きて!!」


布団から引き剥がしてようやく起床。素早くベットメイキングを済ませて部屋を出ようとした。しかしその隙をつかれて湊月くんはわたしの右手首を掴んで布団の上に座らされた。


「せっかく彼氏を起こしに来たんだからゆっくりしていきなよ」

「ダメ!これから学校だよ?それより早く着替えて!」


「着替えて欲しかったら俺が喜ぶことしてよ。そしたら着替えてあげる」


「喜ぶことって?」

「さぁ?何だろうね。ほら、早くしないと遅刻しちゃうよ?」


うぅ、遅刻はできないし。湊月くんに早く着替えてもらうためには喜ぶことをしなきゃいけないし。

わー…!こんな時に優花里がいてくれたら。


えっと、湊月くんが喜びそうなこと。あっ…!


「ヘアセット!これでしょ」

「残念、不正解。確かにそれも好きだけど、今は違うな」

「えぇ…。ってもう、7時30分!?そろそろ出ないと本当に遅刻しちゃう!!」

「なら早く答えを見つけないとね。ほら夢、よーく考えてごらん?いま俺は“彼女”に起こされて最高の気分。これにもうひとつ何かしてくれたら着替える気になるんだけどなぁ〜?」


もうひとつ…ダメだ。遅刻しそうなことばかり考えちゃって、まともに考えられない。


「仕方ない。今日はこれで勘弁してあげよう」


焦っているのが伝わったのか湊月くんは立ち上がって制服を手に取った。ベットから立ち上がってササッと部屋から出ていく。