湊月くんの甘い溺愛に困っています

「あれ?神尾くんじゃない」


初めて聞いたその声はわたしの行動を簡単に止めることになる。


「小坂さん…?」


誰……?


花柄のワンピースにレインブーツ、高そうな雨傘を持った女の子。スラッとした白い脚がスカートの隙間から覗かせて、小走りでわたしたちの方に歩み寄ってきた。


「やっぱり神尾くんだぁ。今帰りなの?」

「えぇ、まぁ……。小坂さんも仕事終わりですか?」

「うん。仕事終わりに神尾くんに会えるなんてこれも何かの縁ってやつだね。ねぇねぇ、これから2人でどこか行きませんか??」


2人でって、わたしは?!もしかしてわざと気付いていない?さりげなく湊月くんに触れてるし……。

あー…でも、湊月くんは本気にしていない。目が笑っていない。


「湊月くん、この方は?」

「誰、あなた?」


本当に気付いてなかったの?なんかわざとらしい……。


「夢、この人は同じ映画で主演を務める小坂まどかさん。小坂さん、紹介します。俺の彼女の…」

「朝日奈 夢です。初めまして」

「彼女……。本当にいたんだ」


それってどういう意味よ…?!あぁ…ダメダメ。感情的にならないように、冷静に。また子供扱いされたくないし。

ここは湊月くんの彼女らしく堂々としてないと…!笑顔、笑顔……。