side:湊月


撮影が始まって3週間が経過した。慣れないこと多くてリテイクを何度もしてしまったけど、なんとか中盤まで撮影を進められることができた。

これから少し時間に余裕が持てる。というのもの、雨が続いて外での撮影が予定より進められていないからだ。

今日の撮影を終えたら久しぶりに夢に会うことになっている。リテイクをなるべく出さなければ学校が終わる頃にはここを出れる。


俺がこれからやるシーンはケガを負って、足が完全に治る可能性が低い状況。マネージャーとして、幼なじみとしてずっと支えてきた莉津は苦しい思いを抱えている。

それを支える役割を果たすのが俺が演じる颯だ。

颯は莉津に告白したが、彼女は陽向に思いを寄せていることから積極的に想いを伝え続けていた。

その事が原因で陽向と喧嘩をしてしまう。陽向も莉津に恋心を抱いているがら素直になれずにいた。

そんな陽向がケガをしてもうサッカーが出来なくなるかもしれない状況の中、莉津を支えるのはとても苦しいはず………。



「よーいアクション!!」


病院のベンチで声を殺しながら涙を莉津の隣に座る颯。陽向の足のことを聞いたことを話す。


『サッカーする陽向が私はずっと見ていたい。なのに……どうして、こんな事に……』