「じゃあ、はい」
そう言って純恋ちゃんは私に卵焼きを差し出す。
「いいよ別に」
「あたしがあげたいの。ただでもらうのが嫌だったら、その弁当から一つ貰うわ」
「じゃあ、それで」
「分かった」
純恋ちゃんは、卵焼きを一個私の口に入れた
「美味しい」
ほんのりとした甘みが口の中で広がり、満足感がすごい。
「でしょー。あたしのお気に入りなの」
「え? そうなの?」
それはなんだか悪い気がする。
すると、純恋ちゃんが、
「大丈夫だよ。あたしいつでも食べられるから、今日は水奈ちゃんが食べてよ」
「うん」
私が首肯した瞬間、今度はウィンナーが口に突っ込まれる。
「もう」
「いいじゃない」
そう言って笑顔で笑う彼女を見ていると、
昨日感じた違和感は気のせいだったんだなと思える。
結局、私のお弁当は食べてくれなくて、一方的に貰う形になったけど。
周りからの視線の痛さを踏まえても、今は結構幸せなのかもしれない。
純恋ちゃんが私にいいようにしてくれているのだから。

