「由良と学校生活送るのももう最後かー。新しい学校でも頑張りなね」
「うん、頑張る、!」
「ずっと夢だったもんね。白馬の王子様との恋」
「うん……!きょうちゃーん!」
1年生から仲良くしてくれていた親友。森 京香(もり きょうか)。通称、きょうちゃんとの最後の帰り道を歩く。
そう。私は中学二年生が終わるタイミングで隣町の中学校へと転校するのだ。
お母さんが再婚し、新しいお父さんと息子さんと今日は会うことになっている。
「じゃあね。なんかあったらいつでも頼りな!」
「うん!ほんとに大好きだよ!きょうちゃん!」
きょうちゃんと別れ、間ち合わせである駅に向かう。

んー。早く来すぎちゃったかも。コスメ屋さんとかでも見とこ。
「あ、ねえねえ!そこのお姉さん!今暇?めっちゃ俺のタイプなんだよねー!」
ナンパ?
…………っくぅう!!わたしナンパされたことないから、ほんっとに嬉しいんだけど!
あ、でも危ないやつかもだしちゃんと断らなきゃね。
「すみません。人と待ち合わせしてるので」
このセリフも言ってみたかったの!!!
「来るまででいいからさ!ほらほら!」
「……っ、え、手、!」
手を掴まれた。
さすがにやばい?やばいよねぇー。誰か、誰か助けてぇー!!
「俺のおねーちゃんに何してるんですか」
……オネーチャン……?
「誰だよ君!」
「この人の弟」
……オトウト……?
「誰って顔してるよ!?ね!?」
「いいから早く手離せよ」