「何処まで送ろうか?」

「家の近く迄…いいかな?」

「分かった」


どうせ鳴海は帰っていない。

家が近付くと、私も哲平も無口になっていく。
哲平の手は私の手を強く握ったままだ…。


二人の気持ちとは裏腹に、時間は過ぎて家の近く迄来てしまった。

あの頃の私達なら、帰らなかっただろう…。
でも、今の私達はあの頃とは違うんだ……。


「又、会える?」

「うん」


握り締めた手を放そうとした瞬間、哲平は優しくオデコにキスをした。


「又な!」


私は哲平を見えなくなる迄見送った。


「ただい…」


私は玄関に鳴海の靴がある事に気付いた。

何で…?

いつもならまだ帰ったない時間なのに…。


「お帰りなさい」


高橋が出迎える。


「鳴海さんは?」

「今日は早くに帰られました…。今はお部屋に…」

「そう…」


私はシャワーを浴び、自分の部屋に入る。

ベッドに横になると、部屋をノックする音が聞こえた。


「どうぞ」


険しい顔をした、鳴海が入って来た…。


「何処に行ってた?」

「友達とちょっと」

「友達って…?」