電話を切った後、私はベッドに横になり、放心状態になる…。


哲平に彼女が出来たんだ…。
仕方ないよね。

哲平に彼女を作るなって言う権利も、私にはもう無いんだから…。

本当に忘れなきゃいけない。

あの手紙も捨てて、鳴海と一緒に頑張って行こう…。

押し入れから、段ボール出し、哲平からの手紙を取り出す。


哲平……。



ーガチャ


「帰ってたのか?!」


凄い勢いで鳴海が部屋のドアを開けた。


「ん…うんっ」


私は慌てて哲平からの手紙を、机の引き出しの中に隠した。


「良かったっ…」

「…ごめんね」

「いいんだ…。無事で良かった…」


そう言って、鳴海は強く私を抱き締めた。

さっき迄、哲平を想っていた自分に罪悪感を感じる…。

こんなに心配してくれる人が目の前にいるのに、何をやってるんだろう…。


ごめんね、鳴海……。


「ご飯、食べれるか?」

「……」

「少しでも食べろよ?」

「…うん」


鳴海に優しくされればされるほど、胸が痛いよ…。

食卓に行くと、沢山の料理と不機嫌そうな高橋の姿があった。