私が抱える疑問点一つ目、先に父や兄へ接触した理由。ヒロインカンパニーから復職を望まれる人材が一般社員として宮田工業へ入社は無理があると理解した。
次にどうやって私を知ったのか? 社内報で語った内容に共鳴してくれ、個として興味を持ったのだと確信する。
「ごほん」
わざとらしく咳払いを一回。
こんな大勢の前で率直な気持ちを言うなんて恥ずかしい。でも、課長が私を想ってくれた時間に少しでも報いたいから。
「わ、わたしはーー」
『只今より、宮田によるスピーチを行います』
ピンポンパンポーン、ここでアナウンスが入った。主催者が挨拶をするとの報せを受け、周りの影があっという間に散っていく。
出鼻をくじかれた私は固まり、行き場のない言葉を噛む。もしかしなくとも絶好のチャンスを逃してしまった。場の勢いを借りなければ伝えられない。
「私達も社長のお話を聞きに行きましょう」
「え、でも?」
「あぁ、この輩は彼に任せておけばいいです。急いで、始まってしまいますよ」
後始末は元上司へ押し付け、私を誘導する。
「香ちゃん、お幸せに〜結婚式には必ず招待してね! そうそう、ブライダルエステはシンデレラカンパニーで宜しく!」
手を引かれつつ振り向く。すると厄介を引き受けたとは思えない笑顔で背中を押す。
父のスピーチを聞かなくても構わない様子から、彼は花森課長が目的だったのだろう。
自然に繋いだ指先を見る。
前職の方に課長のポテンシャルがあるのかもしれない。
だけどーー。
私はこの手を離したくなかった。
とっくに離せなくなっていた。
次にどうやって私を知ったのか? 社内報で語った内容に共鳴してくれ、個として興味を持ったのだと確信する。
「ごほん」
わざとらしく咳払いを一回。
こんな大勢の前で率直な気持ちを言うなんて恥ずかしい。でも、課長が私を想ってくれた時間に少しでも報いたいから。
「わ、わたしはーー」
『只今より、宮田によるスピーチを行います』
ピンポンパンポーン、ここでアナウンスが入った。主催者が挨拶をするとの報せを受け、周りの影があっという間に散っていく。
出鼻をくじかれた私は固まり、行き場のない言葉を噛む。もしかしなくとも絶好のチャンスを逃してしまった。場の勢いを借りなければ伝えられない。
「私達も社長のお話を聞きに行きましょう」
「え、でも?」
「あぁ、この輩は彼に任せておけばいいです。急いで、始まってしまいますよ」
後始末は元上司へ押し付け、私を誘導する。
「香ちゃん、お幸せに〜結婚式には必ず招待してね! そうそう、ブライダルエステはシンデレラカンパニーで宜しく!」
手を引かれつつ振り向く。すると厄介を引き受けたとは思えない笑顔で背中を押す。
父のスピーチを聞かなくても構わない様子から、彼は花森課長が目的だったのだろう。
自然に繋いだ指先を見る。
前職の方に課長のポテンシャルがあるのかもしれない。
だけどーー。
私はこの手を離したくなかった。
とっくに離せなくなっていた。

