お気に入りのグレーのスカートを揺らして、ぴかぴかのブレザーをきっちり羽織って足取り軽く正門をくぐる。



女子高生歴、約1ヶ月。JK、あぁ、なんて素敵な響きだろう! 華のJK、15歳、春。これまでの人生の中で今がきらめき最高潮!な、わくわくとどきどきに包まれた、とある日。



正門から校舎に辿り着くまで、一直線に少し歩かなきゃならないちょっぴり特殊な学校にもこれから慣れていくんだろうなぁとこれからの生活に思いを馳せていた、そんな時。



ふと、目の前を歩く背の高い男の子の鞄から、何かがひらりと落ちていったのが視界に映った。その男の子は全く気がついていないようで、わたしは軽い足取りのまま落としたそれを拾い上げた。



手にとってみれば、それが定期券だというのは一目瞭然。黒いレザー調のケースに入れられた、ICカード。特に名前を確認もせず、そのまま持ち主の男の子に後ろから声をかけた。




「あの、!」