ピンポーン。

「ん?」

 お昼ご飯を食べ終わり、ランチタイムの混雑がピークになってきた十二時四十分。

二階に鳴り響いたチャイムに、首をかしげる。

廊下を移動し、階段の上からカフェスペースにいるお母さんに話しかけた。

「お母さーん、今日なんか届くものあったー?」

「ええっ? 凛花、なんて言った? あっ、はーい! 今行きますね〜」

(聞こえてないな)

 注文を取りに走り出す母を見送り、はあっとため息をつく。

廊下を移動しながら言ったから、ちゃんと聞こえなかったみたい。

 どうもこの家の階段は、声の通りがあまりよくないのだ。

 とりあえずインターホンのボタンを押してみたら……。

「えっ、海都?」

 小さな画面には、カメラに顔を近づける海都が映っていた。

(出るのがおそかったからか!)

あわてて通話ボタンを押す。

「ごめん、おそくなっちゃった」

『あ! よかったー、出てくれて。急にごめんね』

「ううん。ぜんぜん大丈夫だけど、うちになにか用事?」

『ちょっと、外来てくれない?』

海都はそう言うと、見えていなかった紙袋を自分の顔の横に持ち上げた。