土曜日の午前中、垂れ流していたテレビの天気予報の声に思わず顔を上げた。
「え、明日って雨降るの?」
勢いよく顔を上げたせいで、クリップで適当にまとめた髪が少し乱れてしまった。
お昼のバラエティ番組の合間に入ってきた天気予報だったから、すぐに画面が切り替わる。
「凛花、明日どっか行く予定でもあったの?」
わたしの声が聞こえたのか、自宅のキッチンからお母さんがリビングに入ってきた。
片手にカフェオレの注がれたグラスを持っているから、お店の休憩時間かな。
(あのカフェオレ、市販のやつ? それともうちの?)
一応、実家がカフェをやっているわけだから、そこのところは気になる。
まあどっちでもいいんだけど。
わたしの住む家は二階建てで、一階が「三日月うさぎ」のカフェスペース、二階が居住スペースとなっている。
カフェのキッチンと自宅のキッチンがあるので、「キッチン」と言っても二つあってややこしい。
「あれ、勉強してるの? えらいじゃん、土曜の午前中から。あ、もうすぐ十一時になっちゃう」
「ああー……。勉強ね……」
ちょっと事情があってしどろもどろになったけど、どうやら聞こえていないみたい。
ランチ混んじゃうからお昼ご飯の準備しないと、と言いつつもゆったりとソファに腰かけた。
忙しいんだか休憩するんだか、ふわっとした母親である。
腕時計を見ると、たしかにあと五分もしないうちに十一時になるところだった。
カフェでお手伝いするときには腕時計をつけていた方がなにかと便利なんだよね。
おかげで、外出しない日でも家の中で腕時計をつけるクセがついた。
「ランチ、わたしも手伝おっか?」
カフェオレで一息つくお母さんに提案してみる。
十中八九、手伝ってほしいと言われるはずだ。
「でも凛花、今勉強してるじゃない。手伝ってくれたらありがたいけど、まだ時間あるし大丈夫よ」
「そう?」
お母さんの意外な返答に目をまるくする。
でも、それもそうか。
たしかに混雑のピークまで一時間はあるし、なんならわたしたちがお昼を食べないと。
ランチタイムが終わるまで、なにも食べられない事態が起きかねない。
我が家ではめずらしくもないハプニングだけど、なにか食べておかないとちょっとキツい。
冷房の温度設定をいじっていたお母さんは、思い出したようにまた口を開いた。
「で、なんで勉強してるの? べつにしてくれて構わないんだけどさ。そうだ、明日なにかあるの?」
「……あ〜っとねえ〜……」
「歯切れ悪くない?」
お母さんの冷静なツッコミを真正面から食らう。全くもってその通りである。
「いや、実はさあ……」
「なに。もったいぶらないでよ。お昼ご飯作らなきゃだから」
それ、理由になってる?
わたしはわたしで、心の中でお母さんにツッコミを入れている。
「体育祭に、招待されたの。……海都から」
「え、明日って雨降るの?」
勢いよく顔を上げたせいで、クリップで適当にまとめた髪が少し乱れてしまった。
お昼のバラエティ番組の合間に入ってきた天気予報だったから、すぐに画面が切り替わる。
「凛花、明日どっか行く予定でもあったの?」
わたしの声が聞こえたのか、自宅のキッチンからお母さんがリビングに入ってきた。
片手にカフェオレの注がれたグラスを持っているから、お店の休憩時間かな。
(あのカフェオレ、市販のやつ? それともうちの?)
一応、実家がカフェをやっているわけだから、そこのところは気になる。
まあどっちでもいいんだけど。
わたしの住む家は二階建てで、一階が「三日月うさぎ」のカフェスペース、二階が居住スペースとなっている。
カフェのキッチンと自宅のキッチンがあるので、「キッチン」と言っても二つあってややこしい。
「あれ、勉強してるの? えらいじゃん、土曜の午前中から。あ、もうすぐ十一時になっちゃう」
「ああー……。勉強ね……」
ちょっと事情があってしどろもどろになったけど、どうやら聞こえていないみたい。
ランチ混んじゃうからお昼ご飯の準備しないと、と言いつつもゆったりとソファに腰かけた。
忙しいんだか休憩するんだか、ふわっとした母親である。
腕時計を見ると、たしかにあと五分もしないうちに十一時になるところだった。
カフェでお手伝いするときには腕時計をつけていた方がなにかと便利なんだよね。
おかげで、外出しない日でも家の中で腕時計をつけるクセがついた。
「ランチ、わたしも手伝おっか?」
カフェオレで一息つくお母さんに提案してみる。
十中八九、手伝ってほしいと言われるはずだ。
「でも凛花、今勉強してるじゃない。手伝ってくれたらありがたいけど、まだ時間あるし大丈夫よ」
「そう?」
お母さんの意外な返答に目をまるくする。
でも、それもそうか。
たしかに混雑のピークまで一時間はあるし、なんならわたしたちがお昼を食べないと。
ランチタイムが終わるまで、なにも食べられない事態が起きかねない。
我が家ではめずらしくもないハプニングだけど、なにか食べておかないとちょっとキツい。
冷房の温度設定をいじっていたお母さんは、思い出したようにまた口を開いた。
「で、なんで勉強してるの? べつにしてくれて構わないんだけどさ。そうだ、明日なにかあるの?」
「……あ〜っとねえ〜……」
「歯切れ悪くない?」
お母さんの冷静なツッコミを真正面から食らう。全くもってその通りである。
「いや、実はさあ……」
「なに。もったいぶらないでよ。お昼ご飯作らなきゃだから」
それ、理由になってる?
わたしはわたしで、心の中でお母さんにツッコミを入れている。
「体育祭に、招待されたの。……海都から」