それに対し何か言い返すわけでもなく、男はリースたちに自分に着いてくるよう促した。
その場にいた住民らを気にしつつも前を通り過ぎ、先へ進めたことに安堵する。
「あ、あの!ありがとうございます。・・・でも、どうして・・・・・・」
「・・・・・・すまない。突然のことで驚いただろう。・・・彼らはノワールの住民だ。数年前から国に近寄る者たちを悪人だと決めつけ、一方的に追い返しているみたいでね・・・。話なら私が聞こう」
背中を追うような形で後ろにいた三人は互いに顔を見合わせると、フランが小さく頷き口を開く。
「・・・・・・あなたは、ステラさんを知っていますか」
その問いに男はぴたりと足を止めた。
握られていた拳が微かに震えている。
ああ。
きっとさっきの人たちが言っていたように、この人も何度も同じ言葉を浴びせられてきたのだろう。
「王女・・・・・・ステラは・・・、この世の誰よりも優しかった。・・・まさに、このノワール国にとって女神のような存在だった・・・」
悲しみと怒りが入り混じったその声は虚しく空気の中へと消えていく。

