「なんだよ。さっきのが断然いいのに。・・・と、俺も会計済ませてくる」
紅茶を手にその場を離れ、残されたルチルはにこにこと笑っている。
「何が可笑しい」
「ううん。嬉しいの。リースがああやって周りに目を向けるようになったのが」
「・・・記憶がないと言っていたな」
「リースから聞いたの?・・・なんだ、思ってたより仲良しなのね」
意味がわからないといった様子で顰めっ面になる。
その返しにも慣れたのかルチルは変わらず優しく笑う。
「あとはもう少し、笑ってくれるといいんだけど」
リースの後ろ姿をもどかしそうに見つめ、またこちらに顔を向ける。
「あなたもね」
その包容力に溢れた眼差しにどう反応したらいいのかわからず、思わず目を逸らしてしまった。
きっと彼にとって彼女が心の支えになっているのだろう。
・・・俺はこんなところで何をしている?

