ゆっくりと体を起こし立ち上がろうとすると、ルチルが何やら空の一点を見つめたまま動かずにいることに気がつく。

「なにかしら、あの光」

その目線の先にはここからはかなり遠そうだが、確かに星とは違う別の光が空を明るくしていた。

どこかの国が祭典でも執り行っているのだろうか。

やがてその光は強くなり、空に向かって一筋の柱となり静かに消えていった。



一体今のは何だったのか。

この時は深く考えず、ただ彼女がこちらを見て優しく微笑む。

「帰ろうか」

手を取り立ち上がるとニ人肩を並べその場を後にした。





君は気づいているのだろうか。
何度もその笑顔に救われていることに。

過去の記憶がないこの俺は心のどこかでずっと探していた。


自分の、生きる意味を。