周りを見渡せばいつ以上にビシッと決めた制服を着てる生徒と着物やスーツを着て いる大人たちが校門や昇降口の入り口の所にひしめき合っている。
今日は卒業式だ。俺は親がいないから誰も来ない。そう思っていたけど隣には笑美 がいる。今日はいつもの黒いコートじゃなくてドレスを着ている。
最初は嫌がってい たけど俺が無理を言ってこのドレスを着てくれている。やっぱり似合う。メイクもバッ
チリだ。朝から波瑠にヘアメイクをしてもらっている。
どうやらこのメイクは笑美のリクエストらしい。
「じゃあ、私は体育館に入るね。また後で。」
「おう。」

卒業式とホームルームを終えて卒業生は皆んな写真を撮ったり好きな男子から第二 ボタンをもらったりアルバムに寄せ書きを書いたりしてる。俺も同級生や後輩達に声 をかけられ制服のボタンを全て持ってかれた。極め付けはジャケットが欲しいと言ってきた話したことの無い後輩がいたけど遠くに見える笑美のところに行きたくて丁重に断ってその場を後にした。人混みが苦手な笑美は校門の外にいた。俺がそうする様に言ったからだ。