「嫌うも何もまだ君の事何も知らないんだけど。」確かに笑美さんからしてみればお前誰だよって感じだ。俺は話を続けた。「でも、俺からしたら恩人だし会えてない間も心のどこかで笑美さんを覚えてた。だから笑美さんとぶつかったあの日懐かしい香りがして驚きました。
子供の時に覚えてた香りの人が俺の目の前にいる。あの時俺は笑美さんが笑ってないのを知ってました。
あの時何か出来ることがあったら良かったのに出会えた事が嬉しくて何も考えずに後ろ姿を見送っていました。
ごめんなさい。俺がもっと早く助けていたら顔にこんなあざを作らなくて良かったのに。」
終始何も言わない笑美さんの頬に触れた。
「本当に綺麗な目をしていますね。俺は子供の時この瞳に救われたんです。 目つきは怖かったけど笑ってた時は優しくて綺麗な目をしていた。だけど今の笑美さ んの目は何処か陰を感じる。優しくて綺麗な目なのに悲しい目をしてる。」
「貴方に何がわかるの?」
そう言われると覚悟していた。だけど俺はもう諦めない。「わかりません。だけど俺はもう笑美さんのその悲しい目を見たくない。あの時の優 しい笑顔でまた