「え……わたしにドラマの話ですか?」
「そう、ドラマ」

 グラビアの撮影を終え、控え室に戻ったところで、夢さんから告げられたその一言。
 なんとも意外な話に思考がフリーズし、数秒たったところで瞬きを何度かして反応する。

「あ……え……なんでわたしに……?」

 今までグラビアの撮影一本で仕事をしてきた。
 テレビ出演することすらなかったわたしに、まさかそんな話が舞い込んでくるなんて思いもしなかったのだ。
 そんなわたしに、夢さんは「驚くのも無理ないわね」と苦笑する。

「キャスティングした監督がうたのファンなんだって。今度する学園もののドラマにどうしても出てほしいって」
「……でもわたし、お芝居とかしたことないですし」
「ああ、いいのいいの。グラビアとしてのうたで決まったみたいだから」
「……?」

 夢さんの話によれば、その恋愛をメインとした学園ものが企画として立ち上がっているようで、わたしの役所としては〝現役女子高生グラドル〟という肩書きだった。
 まさしく今のわたしでしかない。
 主人公の男の子と、ヒロインである女の子のライバル的な存在。つまりは、お邪魔虫なわけだ。色気を使って男の子を誘惑していく話らしい。ある意味三角関係。
 
(……どろどろじゃないか)

 ドラマの話をざっくり夢さんから教えてもらいながら、そんな役がきたのかと驚いてしまう。しかも、驚きは二重でやってくるものだから思わず声をあげてしまった。