「えっと時間は……」

 サイトに掲載されていた開始時刻は13時。ということは、

「もう始まってない?!」

 急いで時間を確認しては、13時20分と表示されていることにショックを隠しきれない。
 それでも配信されているというリンクのページへと飛べば、滑り込みでなんとか視聴することが出来た。

 画面にはメンバー全員が座った状態で画面に映し出されていた。
 その真ん中には来栖凪。ノーセットに近いような、ぺたんとしたその髪型が実はかなり好みだったりする。


『ひさしぶりの生配信ってことで――』

 メンバーのまとめ役でもある頭脳派のリョウ(という名前で覚えている)を筆頭にメンバーそれぞれが思い思いに語っていく。

 すごいな、こういう人たちって。
 どんなときでも、ファンに夢や希望を与え続けているんだから。そういう存在になれるんだから、羨ましい。
 たいしてわたしは、いざ休みをもらっても、誰かに元気を届けるなんて考えもなければ、ただ自分のことだけに時間を使おうとしていた。
 
 来栖凪も、こうして今、誰かを支えているんだ。

 そう思うと、やっぱり、住む世界が違うように思う。 

「え……数すご?!」

 驚いたのは、その配信がコメントもスタンプも押せるというものだった。

「視聴者数は……150万人?! よく回線保っているな?!」

 コメントも、わたしの配信とは桁が違うほどに勢いよく流れていく。スタンプも途絶えることがない。

『あ、元気が出る話聞きたいって』

 しかも、コメントもmeteorに拾ってもらえるとあって、それはもうお祭り騒ぎだ。

『じゃあ、こういうのが得意なリーダーに!』
『え! 俺!? うわ、そうだなあ、えっとね、あのいつも行くコンビニがあるんですけど――』

 他愛ない話にも花を咲かせる。メンバーが笑えば、きっと画面を隔てた世界では、何百万と人を癒しているのだろう。