絶対零度の御曹司はおひとり様に恋をする

振り返った冬上さんは、いつもより顔が赤く見えた。それに息も上がってる。

「真下さんか…」
「大丈夫…ですか?」

冬上さんが辛そうに顔を歪めるから、失礼します、と断ってから冬上さんの手に触れた。ものすごく熱い。

「冬上さん。熱が…」
「真下さん。駐車場に俺の車が停めてある。家まで運転をお願いしてもいいかな」
「もちろんです。でも自宅じゃなくて病院へ行った方がいいですよ」
「市販薬を常備してあるんだ。これくらいの熱なら直ぐに…治るはずだ」

色々な感染症もあるし、本当は病院へ行って検査したりした方がいいと思うけど、とりあえず今は冬上さんを車に乗せるのが先決だ。

冬上さんから鍵を受け取って、一緒に地下駐車場へ向かう。足取りもふらついているし、こんな状態で一日仕事をしてたなんて、どれだけきつかっただろう。私の他に、冬上さんの異変に気づいた人はいなかった。ううん。もしかしたらいたのかもしれない。でも誰も言わなかったんだ。

冬上さんだから。言えない。言わない。
私が思う以上に、冬上さんは孤独なのかもしれない。