絶対零度の御曹司はおひとり様に恋をする

少し、怒ったような声に聞こえた。

実際、怒っているのかもしれない。私が危なかったってことは、私を助けた冬上さんだって危なかったってことだ。

「本当に冬上さんにはご迷惑をおかけして…すみませんでした」
「別に謝らなくていい。ただ、君はもっと自分を大切にするべきだ」
「はい。ーーー肝に銘じます」
「そうした方がいい」

冬上さんは自分が巻き込まれたことに怒ったのかと思ったけど、違う。謝らなくていいとか、自分を大切にとか、まるで親が子供に対して諭すような…。

なんだ。やっぱり、全然怖い人なんかじゃない。上部だけ取り繕って優しい人なんて沢山いるけど、むしろ冬上さんはその逆。言い方はきついところがあっても、根本部分は相手のことを思い遣っているんだ。

「ふふっ」

そう思ったら堪えきれずに、思わず笑ってしまった。不思議そうにこっちを見た冬上さんと目が合った。

「どうかした?」
「いえ。何でもないです。すみません」
「そう…」

口の中にある飴の味が、一層甘味を増した気がした。