結局、二人で子羊のカツレツを頼んだ。
サラダも彩りが綺麗だし、カツレツは全然臭みとかがなく、衣も歯ごたえ良くサクサクといい音がして、ソースも濃厚で美味しかった。
「本当に連れてきてくださってありがとうございました。子羊ってちょっとだけ苦手だったんですけど、全然気にならなくて美味しかったです」
帰りの車の中は、会社を出たときとは気持ちが変わっていた。隣でハンドルを握る冬上さんが、雲の上から下界近くまで降りてきた感じがして身近な人に思えていた。
「それなら良かった。ところで、もう体調は大丈夫?」
「あ、はい。もう全然…」
「頭を打ってるんだから無理はしない方がいい。もし何か異常を感じた時は遠慮しなくていいから。直ぐ俺に言って」
「ーーーありがとうございます」
段々と確実に、絶対零度の冬上さんのイメージが音を立てて崩れていく。まさか、私の体調まで心配してくれるなんて思わなかった。
心がない。そんな風に冬上さんのことを言っていた人もいる。私もそれを聞いていた時は、遠くから見ていたイメージを重ねて酷い人だなんて思っていたりもした。
でもそれは、ミスを責められて、謝っても許されなくて辞めることにしたと聞いたからだ。
この人に心がないなんて絶対に違う。だけど、仕事上だとそういうスイッチが入ってしまう人なのかもしれない。
首都高を走っている途中で急に車の動きが遅くなって、前方から次々とハザードランプが点き始めて遂には完全に車の流れが止まった。事故渋滞だ。冬上さんが会社に連絡を入れてくれた。
「参ったな」とポツリと冬上さんが言った。忙しい冬上さんだから、帰社してからの仕事も山積みなことは想像に容易い。
サラダも彩りが綺麗だし、カツレツは全然臭みとかがなく、衣も歯ごたえ良くサクサクといい音がして、ソースも濃厚で美味しかった。
「本当に連れてきてくださってありがとうございました。子羊ってちょっとだけ苦手だったんですけど、全然気にならなくて美味しかったです」
帰りの車の中は、会社を出たときとは気持ちが変わっていた。隣でハンドルを握る冬上さんが、雲の上から下界近くまで降りてきた感じがして身近な人に思えていた。
「それなら良かった。ところで、もう体調は大丈夫?」
「あ、はい。もう全然…」
「頭を打ってるんだから無理はしない方がいい。もし何か異常を感じた時は遠慮しなくていいから。直ぐ俺に言って」
「ーーーありがとうございます」
段々と確実に、絶対零度の冬上さんのイメージが音を立てて崩れていく。まさか、私の体調まで心配してくれるなんて思わなかった。
心がない。そんな風に冬上さんのことを言っていた人もいる。私もそれを聞いていた時は、遠くから見ていたイメージを重ねて酷い人だなんて思っていたりもした。
でもそれは、ミスを責められて、謝っても許されなくて辞めることにしたと聞いたからだ。
この人に心がないなんて絶対に違う。だけど、仕事上だとそういうスイッチが入ってしまう人なのかもしれない。
首都高を走っている途中で急に車の動きが遅くなって、前方から次々とハザードランプが点き始めて遂には完全に車の流れが止まった。事故渋滞だ。冬上さんが会社に連絡を入れてくれた。
「参ったな」とポツリと冬上さんが言った。忙しい冬上さんだから、帰社してからの仕事も山積みなことは想像に容易い。
