「そういえば、まだ話してなかったな。これから向かうのは、俺が担当してる取引先だ。真下さんを紹介しておけば、これからのやり取りがスムーズになるはずだからね」
「そうなんですね。わかりました」
やり取りがスムーズになるのは、私にとってもかなり助かる。例えば電話対応一つにしたって、相手の声だけしか知らないで話すよりも、相手の顔が浮かぶ方がお互いに一定の気遣いが生まれるはずだ。
でもそれなら、電話の時に教えて欲しかった。服装にしろ挨拶にしろ、ちゃんと準備をして臨みたかった。冬上さんと組むって言うことは、こんなイレギュラーにも平然と対処できる能力が求められるのかもしれない。
「あの…。冬上さん」
「何?」
「取引先の社名を教えて頂けますか。あの、もちろん冬上さんが担当している取引先は全て調べてはあるんですけど、たくさんあるので…」
「ーーー知ってどうするんだ」
「着くまでの間、少しくらいは予備知識を入れていこうかなと思いまして…」
「予備知識か…フッ」
いま確かに笑った。冬上さんにしてみれば、くだらないことなのかもしれない。だけど、必死な人間を笑うなんて、人としてどうなんだろう。一言言ってやりたいけど、さすがに言える勇気はない。
「いま行くのはインフィニティだ。社名だけで十分どんな会社か分かるだろ。調べる必要はないはずだ」
「そうですね。インフィニティなら、私でも説明できます」
「当然だな」
インフィニティは、うちの会社の取引先で断トツナンバーワンの売上高を誇るお得意様だ。スマート家電業界では常にトップを走り続けていて、うちではその部品の数々を納入している。
「そうなんですね。わかりました」
やり取りがスムーズになるのは、私にとってもかなり助かる。例えば電話対応一つにしたって、相手の声だけしか知らないで話すよりも、相手の顔が浮かぶ方がお互いに一定の気遣いが生まれるはずだ。
でもそれなら、電話の時に教えて欲しかった。服装にしろ挨拶にしろ、ちゃんと準備をして臨みたかった。冬上さんと組むって言うことは、こんなイレギュラーにも平然と対処できる能力が求められるのかもしれない。
「あの…。冬上さん」
「何?」
「取引先の社名を教えて頂けますか。あの、もちろん冬上さんが担当している取引先は全て調べてはあるんですけど、たくさんあるので…」
「ーーー知ってどうするんだ」
「着くまでの間、少しくらいは予備知識を入れていこうかなと思いまして…」
「予備知識か…フッ」
いま確かに笑った。冬上さんにしてみれば、くだらないことなのかもしれない。だけど、必死な人間を笑うなんて、人としてどうなんだろう。一言言ってやりたいけど、さすがに言える勇気はない。
「いま行くのはインフィニティだ。社名だけで十分どんな会社か分かるだろ。調べる必要はないはずだ」
「そうですね。インフィニティなら、私でも説明できます」
「当然だな」
インフィニティは、うちの会社の取引先で断トツナンバーワンの売上高を誇るお得意様だ。スマート家電業界では常にトップを走り続けていて、うちではその部品の数々を納入している。
