The previous night of the world revolution8~F.D.~

「それ」が終わると、いよいよ結婚式も大詰め。

新郎新婦は、参列者に祝福されて、フラワーシャワーを浴びながら教会の外に出てきた。

「おっ、やったぜ。ここからはスコープで見れるな」

教会の外に出てくれれば、もうアイズのカメラで見る必要はない。

アリューシャは、小さなタブレット端末から、愛用のスナイパーライフルのスコープを覗き込んだ。

俺も、先程まで使っていた双眼鏡を両目に当てて、結婚式の様子を観察した。

ルレイアとマリーフィアは、フラワーシャワーを浴びながら、笑顔で手を振っていた。

マリーフィアは、幸福を体現したような、輝くばかりの笑顔だったが。

ルレイアの方は、遠目からでも分かる「業務用」の笑顔だった。

長い付き合いだから分かる。あれが、ルレイアの本当の笑顔じゃないってことが。

…見ているだけの俺達は、好き勝手なこと言って一喜一憂出来るけど。

今あの場所にいるルレイアは、自分の役割を演じることに懸命で、一瞬たりとも気が抜けないんだよな。

そう思うと、ルレイアが気の毒でならなかった。

今すぐあそこに…ルレイアの隣に行って、ルレイアを安心させてやりたかった。

少しは気を抜いて良いんだ、って言ってやりたかった。

…今の俺には、そんなことも出来ないけどな。

無力な自分が、どうしようもないほどに歯痒かった。

忸怩たる思いで、双眼鏡でルレイアを見つめていると。

まるで、そんな俺の思いが伝わったかのように。

ルレイアは一瞬だけ、はっきりとこちらを向いた。

双眼鏡越しにルレイアと目が合って、俺は思わずたじろいだ。

えっ、う、嘘だろ?

そして、ルレイアはほんの一瞬。

「業務用」じゃなくて、本物の笑顔を…。

ルレイアの、本当の笑顔で微笑んだ。

まるで、目の前にいるかのように。

「…」

驚愕に目を見開いていると、次の瞬間にはルレイアはまた「業務用」の笑顔に戻って、参列者に愛想を振り撒いていた。

…い、今の見たか?

「今…ルレイア、こっち見たよね?」

シュノも気づいたらしく、びっくりして呟いていた。

「あ、あぁ…。こっちを見てた…」

「やべー。スコープ越しに目が合ってびびった。思わず反射的に引き金を引くところだった」

おい、アリューシャ。ルレイアを撃つなよ。

まぁ、今は弾が入ってないから、引いても撃つことはないけども。

「偶然…じゃないよな?」

見間違いでもあるまい。俺だけじゃなくて、アリューシャやシュノも見てるんだから。

「さすがルレイア師匠。僕達がここで見ていることを分かってたんでしょうね」

「マジかよ…」

普通だったら有り得ない。

…普通だったら、な。

生憎と、ルレイアは普通じゃない。

あいつなら気づいててもおかしくない、と思わせてくるのが凄いな。

…ってことは、結婚式の模様をずっと、こうして覗き見していることも、ルレイアは気づいてるんだろうな。

…なんか、ちょっと申し訳なくなってきた。