The previous night of the world revolution8~F.D.~

「そういえば、先日ルシェが突然血相を変えて休暇を申請してきたが、あれはそういうことだったのか…」

「…そういや…そんなことがあったな」

ルレイアがウィスタリア家に戻ってくると聞いて、慌てて実家に帰ったのだろう。

ってことは、ルシェとルレイアは今頃、ウィスタリア家の屋敷で顔を合わせてるんだろうか。

…果たして、そこで一体どんな会話が交わされているのか。

俺には想像することしか出来ないが、恐らく、和気あいあいと喋ってることはないだろう。

決闘が始まっていなければ良いがな。

ルシェのことだから、言葉はちゃんと選ぶと思うが…。

危うくルレイアに殺されかかるんじゃないか、と心配だったが。

オルタンスは、非常に呑気なもので。

「羨ましいな…。ルレイアに会えるなんて…」

「…」

「俺もウィスタリア家に遊びに行こうか。そうしたらルレイアに会えるかもしれない」

…真面目な顔して、何言ってんだ?

会ってもらえると思ってるのか?

「あのな…。ウィスタリア家に戻るって言っても、その後すぐにカミーリア家に婿入りするんだろ?」

「そうか。じゃあ、もう既にウィスタリア家にはいないかもな…。…よし、カミーリア家に遊びに行こうか」

やめとけ、馬鹿。

カミーリア家で決闘でも始める気か?

「そんなことより、何でルレイアがウィスタリア家に戻って、挙げ句カミーリア家に婿入りするようなことになったのか、その理由を考えろよ」

どう考えても、ただ事じゃないだろう。

自分でもそう言ったじゃないか。ルレイアが、相棒であるルルシーとかいう男以外と結婚するなんて有り得ない、と。

俺もそう思う。

あいつは、自分の実家であるウィスタリア家のことも、貴族のことも、ベルガモット王家のことも、酷く憎み、毛嫌いしている。

あいつの過去に起こったことを思えば、それも当然と言うものだが。

そうだというのに、あれほど毛嫌いしているはずの貴族に戻り、ましてやぽっと出の女…しかも上級貴族の娘…と、いきなり結婚なんて。

一体何がどうなったら、そんなことになるのか。

ルシェは、その理由について聞いたんだろうか…?

「そうだな…。何故他の貴族の家ではなく、カミーリア家だったのか…。それが気になるな」

『青薔薇連合会』が、カミーリア家とトラブルを起こした…とか?

カミーリア家がマフィアと繋がってるなんて話は、一度も聞いたことないんだがな…。

「それとも…カミーリア家の次女が、余程ルレイアの好みだったのかもしれない」

「…何言ってんだ、お前…」

「羨ましいな…。俺もルレイアの結婚式に出席したかった…。ブーケトスを受け取りたかった」

「男が受け取ってどうするんだよ」

つーか、呼ばれる訳ないだろうが。身の程を知れ。

「貴族に戻ったついでに、帝国騎士団にも戻ってこないだろうか」

「…戻ってくる訳ないだろ…」

あぁ、もう無理だ。オルタンスの戯れ言には付き合ってられない。

ルシェが戻ってきたら、ルシェの口からルレイアに何があったのか聞こう。

…教えてくれれば、の話だが。