The previous night of the world revolution8~F.D.~

…ふーん。あっそ。

まぁどうでも良いけどさ、俺は。そんなことは。

「そうだ、アドルファス。お前も一緒に会員登録しないか?今お友達と一緒に登録したら、二人共10%オフになるお得なクーポンが、」

「要らねぇよ、馬鹿」

むっとするようなオリエンタルな香水だと思ったら、ルレイアが作ってるのかよ。

そりゃ納得だわ。

この匂いを嗅ぐだけで、近くにルレイアがいるんじゃないかと錯覚してしまいそうになる。

恐ろしい匂いである。

「…そんなことより、オルタンス」

「これなんかとても良い香りだぞ。ルレイアらしく、甘さと妖艶さを兼ね備えた明けない夜の香り、」

「話を聞け。お前がご執心の、そのルレイアについてだ」

「…?」

きょとんと首を傾げるな、大の大人が。

「あいつ、『青薔薇連合会』をやめてウィスタリア家に戻ったらしい。聞いたか?」

「…。…?」

今度は、反対側にこてん、と首を傾げた。

それやめろ。気持ち悪い。

「それから、カミーリア家の次女と結婚するんだってさ。マリーフィアとか言ったか…」

「…」

「…何で無言なんだ?」

驚いたか。驚いて言葉も出ないか?

ルレイアにご執心のオルタンスのこと。このニュースを聞いたら、飛び上がって驚くと思ったが…。

「…ふむ」

オルタンスは、座ってるキャスター付きの椅子をくるりと一回転した。

…。…今、何で回った?

「そんなことを言って俺を驚かせようとは、人が悪いなアドルファス…。しかし、俺はそう簡単には騙されない。ルレイアがルルシー・エンタルーシア以外と結婚するはずはな、」

「冗談で言ってるんじゃねぇよ。本当のことだ」

こんな嘘ついて何になるんだよ。

「…本当に?」

「…本当だ」

「…そうか…」

…納得したか?

これには、オルタンスもさぞや驚くだろう。

俺だって、このニュースを聞いた時は腰を抜かしたのだ。

一体何がどうなって、そんなことになったのかと。

リアルロミオとジュリエット的な展開。

しかし、俺の予想に反して、オルタンスは意外なほどに冷静だった。

「そうか…。きっと、やむにやまれぬ事情があったんだろうな…」

…もっと驚くかと思ったのに、冷静にそう呟いていた。

いや、むしろ逆か?

驚き過ぎて、「静」の方のスイッチが入ってしまったのか?

腰を抜かしていた自分が、何だか間抜けのように思えてくるからやめてくれ。