The previous night of the world revolution8~F.D.~

俺の説明を全て聞き終えたルシェは。

「そうか…。そんな事情が…」

「…」

ご理解いただけましたか。

俺だって、戻りたくてこんな家に戻ってきたんじゃないってことが。

「分かってると思いますけど、このことをチクったらあなたは殺しますよ」

「心配しなくて良い。約束すると言ったのだから、その約束はちゃんと守る」

そうであって欲しいと思いますよ。

あなたの言うことなんて、俺は信用しませんけどね。

「だが…。厄介なことになったな。よもや、『ローズ・ブルーダイヤ』を盗み出すとは…」

「…」

「犯人が誰なのかは分かってるのか?もう捕まえたのか」

ぐいぐい聞いてくるじゃないですか。

秘密を共有する仲間になったつもりですか?

「それはあなたには関係のないことです」

「…そうだったな。だが…誰が盗んだにせよ、それはあまりに危険だ」

ルシェが言う「それ」とは、『ローズ・ブルーダイヤ』のことだ。

「犯人は、あのダイヤの価値を分かっていて盗んだのか…。それとも、他に何か目的があったのか…。それを見極めないことには、『青薔薇連合会』も…」

「…偉そうに説教するじゃないですか。この俺に向かって」

さっきから。何様のつもりだ。

俺がこの家に戻ってきた瞬間、俺の姉に戻ったつもりか?

「俺に説教出来る立場だと思ってるんですか?」

「それは…。…でも…」

ルシェは言葉に詰まり、後ろめたそうな顔を俯かせた。

…そんなしおらしい態度を取れば、俺が感化されるとでも思ったか?

「何です。言いたいことがあるなら言ったらどうですか?」

「…お前がウィスタリア家に戻ってくると聞いて、何か事情があるんだろうとは思っていた。やむにやまれぬ事情が…。そして、実際その通りだった」

えぇ、そうですよ。

『ローズ・ブルーダイヤ』をカミーリア家の宝物庫に戻し、『青薔薇連合会』を守る為です。

そんな特別な事情がない限り、俺がこの家に戻ってくるなんて有り得ない。

「それは分かってる…。お前が自分の意志で裏社会から足を洗い、この家に戻ってくることはない…。それは分かってる。でも、私は…お前がウィスタリア家に戻ってくると聞いて、安心したんだ。…嬉しかったんだ」

「…」

俺が聞いても、心底イラッとしたのに。

ルルシーがこの台詞を聞いてたら、激昂したでしょうね。

「お前が戻ってきてくれれば、とずっと思っていた。何があろうと、ここはお前の生まれた家なんだ。そして、私はお前の…」

「…それ以上言ったら殺す」

俺は、ルシェの喉元に拳銃を向けた。

…自分が「言いたいことがあるなら言え」と言ったんじゃないか、って?

うるせぇ。

言いたいことがあるなら言え、とは言いましたけど。

言って良いことと悪いことってものがあるんだよ。