The previous night of the world revolution8~F.D.~

いやはや。大変懐かしい顔触れ。

まるで同窓会ですね。

「また会えることになるとは思ってませんでしたよ。何年ぶりですかね?」

あの頃の無邪気な学生の面構えは何処へやら。

復讐者の怒りに染まった、素敵な顔になったことだ。

「元気そうで何よりです」

特にミューリア。

別れ際に、片腕ぶった切ってやったんですけどね。

だって蠅が止まるほどの遅さだったから。

あんな実力で帝国騎士を目指そうなんて、片腹痛いですよ。

「…よくも…どの面をさげて、そんなことを…!」

この面ですよ。イケメンでしょう?

…それよりも。

「あなた達だったんですね。帝国自警団に入団して、ブロテをそそのかしたり、レーザー兵器なんてものに手を出させたり…」

ルーチェスが調べてくれた、偽名の帝国自警団団員が入団した時期と一致する。

この三人は、何もかも計算して俺を罠に嵌めようと画策していたのだろう。

その手際は見事。執念もあっぱれ。

しかし、まだ俺には届かない。

「挙げ句、サイネリア家の当主を殺害し…。…その前の『ローズ・ブルーダイヤ』の一件も、あなた方が裏で手を回したのでは?」

「…」

無言で唇を噛み締めるミューリア達。

やっぱりそういうことでしたか。

いやはや。とんでもないストーカーがいたものですよ。

一体いつから、蝿のように俺の周りをうろちょろ飛び回っていたのか。

「いい加減鬱陶しいので、やめてもらえませんかね?」

これ以上、俺の周りをぶんぶんするの。

迷惑なんですよね。

「…何を勝手なことを」

憤怒に燃えた素敵な目で、ミューリアがこちらを睨んだ。

「そっちこそ…自分が何をしたか分かってるの?私達に…何をしたか…」

ふーん?

だから許しを請えと?

謝ったら満足ですか。もう二度としませんと誓ったら満足なんですか。

そんなはずがありませんよね。

俺だって復讐した側なので、その気持ちは痛いほどよく分かる。

謝ってもらったって、自分の犯した罪は消えない。

だから俺は、自分のしたことを、謝罪したりはしませんよ。

「あなた達も、もう知ってるでしょう。…俺の正体を」

ここまで俺を追い詰めたんだから。

「俺はルティス帝国のマフィア、『青薔薇連合会』の幹部。あなた達と、最初に出会った時から」

私立ランドエルス騎士官学校に入学したのも、マフィアとしての仕事の為。

信用されるよう、道化を演じた。

そしてあなた達は、愚かにも俺を信じた。

それが馬鹿だったのだ。

「俺は自分の仕事を果たしたまで。…騙される方が馬鹿なんですよ」

「…っ…!」

宥めてるつもりだったんですけど。

余計怒らせてしまったようですね。