ーーーーー…闇の中から、密かに牙を研いで俺を狙っている者がいると思ったら。
これはまた、意外な人物でしたね。
俺は色んなところで人気者なので。誰に狙われてもおかしくないとは思ってたけど。
ぶっちゃけ、あなた達の存在なんて、さっき見るまで完全に消えてましたよ。
「ま、まさか…!これ…」
…暗殺者、とやらが指定した小さな空き家。
その家のリビングには、何故か古びたソファだけが置き去りにされていて。
わざわざ、背格好を俺に似せたマネキン人形が設置されていた。
ご丁寧に、四肢を拘束して血糊までつける手の込みよう。
良い仕事をしてくれますよ。
さすが、アイズ子飼いの暗殺者組織。
「…驚いているようですね」
人形ではない、本物の俺が。
リビングに姿を現すなり、部屋の中にいた三人はぎょっとしてこちらを振り向いた。
気づいてもらえたようですね。
俺、ずーっと隣室で待機してたんですよ。退屈で退屈で。
「何故…!あの暗殺者…!」
あぁ。
暗殺者…アイズご自慢の暗殺組織、『ツキノミコト』に所属する暗殺者、『朧月(おぼろづき)』さんのことですね。
俺だって驚いたんですよ。…まさか、サイネリア家当主を暗殺したのが、『ツキノミコト』の暗殺者だったとは。
最初、『ツキノミコト』に頼まれた依頼は。
サイネリア家の当主を殺し、その殺害現場に偽造した指紋や、盗んできた頭髪を残して、その指紋の人物に罪を着せること。
その人物が、まさかルレイア・ティシェリーであるということまでは知らなかった。
それを知ったのは、俺が容疑者にされてルティス帝国から逃げた後だ。
『ツキノミコト』サイドもびっくりしたらしいですよ。
まさか、上司(アイズ)の同僚だとは思ってなかったんでしょうね。
そうと知った時には既に遅く、俺は容疑者にされてしまっていた。
だが、それでも『ツキノミコト』は、依頼主を問い詰めることはしなかった。
これは依頼主に正式に依頼され、充分な報酬も支払われた、れっきとした契約だった。
報酬を受け取った以上、今更「この仕事はなかったことにしてくれ」とは言えない。
…だが、ここで依頼主が裏切りを冒した。
依頼主は帝国騎士団宛てに、自分達が真犯人であるとほのめかした。
『朧月』さんは俺を容疑者にする為に、指紋を偽造したり、苦労して髪の毛を盗み出したりしたのに。
その偽装工作を、全部無駄にしたのだ。
この行為は、契約のうちに入っていなかった。
これは裏切り行為以外の何物でもない。
しかも、裏切りはこれだけに留まらない。
というのも、『ツキノミコト』を通さず、『朧月』さん自身に直接仕事の依頼をしたらしい。
こちらもルール違反である。
仕事の依頼は必ず、『ツキノミコト』を通さなければならない。
依頼主は多額の報酬を約束して、『朧月』さんに依頼をした。
この俺、ルレイア・ティシェリーを仕留めて、この小さな空き家に連れてくることを。
これはまた、意外な人物でしたね。
俺は色んなところで人気者なので。誰に狙われてもおかしくないとは思ってたけど。
ぶっちゃけ、あなた達の存在なんて、さっき見るまで完全に消えてましたよ。
「ま、まさか…!これ…」
…暗殺者、とやらが指定した小さな空き家。
その家のリビングには、何故か古びたソファだけが置き去りにされていて。
わざわざ、背格好を俺に似せたマネキン人形が設置されていた。
ご丁寧に、四肢を拘束して血糊までつける手の込みよう。
良い仕事をしてくれますよ。
さすが、アイズ子飼いの暗殺者組織。
「…驚いているようですね」
人形ではない、本物の俺が。
リビングに姿を現すなり、部屋の中にいた三人はぎょっとしてこちらを振り向いた。
気づいてもらえたようですね。
俺、ずーっと隣室で待機してたんですよ。退屈で退屈で。
「何故…!あの暗殺者…!」
あぁ。
暗殺者…アイズご自慢の暗殺組織、『ツキノミコト』に所属する暗殺者、『朧月(おぼろづき)』さんのことですね。
俺だって驚いたんですよ。…まさか、サイネリア家当主を暗殺したのが、『ツキノミコト』の暗殺者だったとは。
最初、『ツキノミコト』に頼まれた依頼は。
サイネリア家の当主を殺し、その殺害現場に偽造した指紋や、盗んできた頭髪を残して、その指紋の人物に罪を着せること。
その人物が、まさかルレイア・ティシェリーであるということまでは知らなかった。
それを知ったのは、俺が容疑者にされてルティス帝国から逃げた後だ。
『ツキノミコト』サイドもびっくりしたらしいですよ。
まさか、上司(アイズ)の同僚だとは思ってなかったんでしょうね。
そうと知った時には既に遅く、俺は容疑者にされてしまっていた。
だが、それでも『ツキノミコト』は、依頼主を問い詰めることはしなかった。
これは依頼主に正式に依頼され、充分な報酬も支払われた、れっきとした契約だった。
報酬を受け取った以上、今更「この仕事はなかったことにしてくれ」とは言えない。
…だが、ここで依頼主が裏切りを冒した。
依頼主は帝国騎士団宛てに、自分達が真犯人であるとほのめかした。
『朧月』さんは俺を容疑者にする為に、指紋を偽造したり、苦労して髪の毛を盗み出したりしたのに。
その偽装工作を、全部無駄にしたのだ。
この行為は、契約のうちに入っていなかった。
これは裏切り行為以外の何物でもない。
しかも、裏切りはこれだけに留まらない。
というのも、『ツキノミコト』を通さず、『朧月』さん自身に直接仕事の依頼をしたらしい。
こちらもルール違反である。
仕事の依頼は必ず、『ツキノミコト』を通さなければならない。
依頼主は多額の報酬を約束して、『朧月』さんに依頼をした。
この俺、ルレイア・ティシェリーを仕留めて、この小さな空き家に連れてくることを。


