廊下から聞こえてくる足音からして、ターゲットは一人で帰宅したようだ。
それは何より。
うっかり友人や家族が一緒だったら、殺す手間が増えるところだった。
「ふー。再会お祝いパーティー、楽しかったー。久し振りに仲間達とわいわいやれて」
嬉しそうに独り言を言いながら、リビングに向かっている音が聞こえた。
「今日もルルシーは素敵でしたね。…にゅふふふ…」
…怪しげな声も聞こえる。
今のは聞かなかったことにして。
その時、不意に、微かにお酒の匂いを感じ取った。
…お酒?
どうやら、ターゲットはお祝いパーティーとやらで飲酒したようだった。
僕にとっては大変都合が良い。
酒に酔っているなら、判断力も身体の動きも、多少鈍くなっているだろう。
あとは、ターゲットが寝室にやって来るのを待つだけ。
案の定、ターゲットはリビングを出て、無防備にペタペタと寝室にやって来た。
「…あれ?」
ターゲットが、不意に立ち止まった。
入り口に仕掛けた、DVDケースに気がついたのだ。
「俺の秘蔵のお宝が…。どうしてこんなところに…」
ターゲットは寝室の入り口にしゃがんで、DVDケースを手に取った。
今が好機。
ここぞとばかりに、僕は入り口に仕掛けた透明なピアノ線を引っ張った。
「っ!?」
ピアノ線が足首に引っ掛かり、ターゲットはもんどり打って寝室に倒れ込んだ。
その隙に、僕は潜んでいたソファの影から立ち上がり、一気にターゲットに肉薄。
ターゲットの脇腹に狙いを定めて、錐を思いっきり刺した。
「うぐっ…」
ターゲットは苦悶の声をあげて、一歩、二歩とよろめいた。
錐の先には、特製の神経毒が塗ってある。
「あ…な、たは…」
「…」
ターゲットは、出血する腹部を手で押さえて呻いた。
…残念だけど、僕のことを聞かれても、答えるべきことは何もない。
僕は命令に従っただけ。命令に従って、いつも通り殺すだけ。
それだけだ。
「…」
刺された腹部を押さえたまま、ターゲットはその場に崩れ落ちた。
…ようやく毒が回ったか。
いつもの仕事なら、脇腹ではなく、心臓を一突きにして殺す。
だが、今回の依頼は殺害ではなかった。
依頼者の望みはターゲットの暗殺、ではなく。
ターゲットを瀕死の状態にして、指定した場所に連れて行くこと。
こういう依頼は、珍しいものではない。
怨恨目的の暗殺の場合、とどめは自分自身の手で刺したい、という依頼は、ままある。
神経毒のお陰で、ターゲットは半日はろくに動けまい。
念の為に、倒れたターゲットの手首に手錠を嵌め、足首にも結束バンドを巻く。
さぁ、これで準備は完了。
あとは大きなスーツケースに折り曲げて入れ、指定のポイントまで運ぶだけだ。
その後のことは、依頼者に任せよう。
それは何より。
うっかり友人や家族が一緒だったら、殺す手間が増えるところだった。
「ふー。再会お祝いパーティー、楽しかったー。久し振りに仲間達とわいわいやれて」
嬉しそうに独り言を言いながら、リビングに向かっている音が聞こえた。
「今日もルルシーは素敵でしたね。…にゅふふふ…」
…怪しげな声も聞こえる。
今のは聞かなかったことにして。
その時、不意に、微かにお酒の匂いを感じ取った。
…お酒?
どうやら、ターゲットはお祝いパーティーとやらで飲酒したようだった。
僕にとっては大変都合が良い。
酒に酔っているなら、判断力も身体の動きも、多少鈍くなっているだろう。
あとは、ターゲットが寝室にやって来るのを待つだけ。
案の定、ターゲットはリビングを出て、無防備にペタペタと寝室にやって来た。
「…あれ?」
ターゲットが、不意に立ち止まった。
入り口に仕掛けた、DVDケースに気がついたのだ。
「俺の秘蔵のお宝が…。どうしてこんなところに…」
ターゲットは寝室の入り口にしゃがんで、DVDケースを手に取った。
今が好機。
ここぞとばかりに、僕は入り口に仕掛けた透明なピアノ線を引っ張った。
「っ!?」
ピアノ線が足首に引っ掛かり、ターゲットはもんどり打って寝室に倒れ込んだ。
その隙に、僕は潜んでいたソファの影から立ち上がり、一気にターゲットに肉薄。
ターゲットの脇腹に狙いを定めて、錐を思いっきり刺した。
「うぐっ…」
ターゲットは苦悶の声をあげて、一歩、二歩とよろめいた。
錐の先には、特製の神経毒が塗ってある。
「あ…な、たは…」
「…」
ターゲットは、出血する腹部を手で押さえて呻いた。
…残念だけど、僕のことを聞かれても、答えるべきことは何もない。
僕は命令に従っただけ。命令に従って、いつも通り殺すだけ。
それだけだ。
「…」
刺された腹部を押さえたまま、ターゲットはその場に崩れ落ちた。
…ようやく毒が回ったか。
いつもの仕事なら、脇腹ではなく、心臓を一突きにして殺す。
だが、今回の依頼は殺害ではなかった。
依頼者の望みはターゲットの暗殺、ではなく。
ターゲットを瀕死の状態にして、指定した場所に連れて行くこと。
こういう依頼は、珍しいものではない。
怨恨目的の暗殺の場合、とどめは自分自身の手で刺したい、という依頼は、ままある。
神経毒のお陰で、ターゲットは半日はろくに動けまい。
念の為に、倒れたターゲットの手首に手錠を嵌め、足首にも結束バンドを巻く。
さぁ、これで準備は完了。
あとは大きなスーツケースに折り曲げて入れ、指定のポイントまで運ぶだけだ。
その後のことは、依頼者に任せよう。


