「米の値段を下げたら、今度は肉の値段を下げろ、酒の値段を下げろだの、言い出したらキリがありませんよ」

うーん…。難しい。

ルレイアの言うことも分かるが、国民達の気持ちも分かる。

「でも…やっぱり米は主食だからさ…。主食は安くないと困るだろ」

「それを言い出したら、肉も油も野菜も必要でしょう」

「そ、そうだけど…」

ちょっと前まで、米であれ芋であれ肉であれ、お腹いっぱい食べられるだけで満足してたはずなのにな。

人間の欲望は果てしない。

「だからって、無視は出来ないだろ。国民達の訴えなんだから」

生活水準が上がっていくのは仕方ない。

少しずつでも、要望に応えるしかないだろう。

「そうですね…。せめて、農村部と都市部で価格に大きな差が出ないように、気を配っておこうと思います」

と、ルアリス。

まぁ…それくらいしか出来ることはないよな。

…うーん。国作りは難しいが、それ以上に国民の生活を守るのはもっと難しいんだな。

「ルアリス…。お前、偉いな。よく頑張ってるんだな…」

「そ、そんな…。大袈裟ですよ、ルルシー殿」

「そうそう。ルアリスなんてまだまだポンコツなんですから、図に乗らせたらだ、いたたたた」

お前が言うな、この馬鹿ルレイア。

「お前って奴は、頑張ってるルアリスを少しは褒めてやれないのか。大体…、」

…と、俺がルレイアを説教しかけた、その時だった。

ルレイアのスマホに、着信音が鳴った。

「…何だよ。誰だ?」

「アイズですね」

えっ。

どうやら、ルティス帝国からの連絡のようだ。

「アイズから…?なんて?」

「…」

ルレイアは自分のスマホをじっと見つめて、無言で固まっていた。

その表情があまりに真剣なので、俺もルアリスも、声をかけることを躊躇われた。

な…何かあったのか?

「る、ルレイア…」

「…ルルシー。どうやら、箱庭帝国イチャイチャデートは、またの機会にお預けのようです」

いや…それは、別に良いけど。

ルレイアが、自分のスマホを俺に見せてくれた。

その内容を見て、俺は息が止まるほどに驚いた。