The previous night of the world revolution8~F.D.~

「良いですか。二人共風俗業を軽んじているようですが。一説によると、大昔、女性が社会に進出した最初の仕事は、風俗業だったそうです」

え、そうなの?

「ルティス帝国でも、かつてはそうでした。女性の仕事と言えば風俗業か、女給、産婆くらいしかありませんでした。それから徐々に女性の社会進出が進んでいったんです」

「…」

「つまり、これから女性が社会に進出する為には、まずその第一歩として、風俗店が必要不可欠なんですよ。分かります?」

…何だろう。

凄くもっともらしいことを言って、良いように丸め込まれてる気がする。

…良い子の皆は、ルレイアの言うことを真に受けちゃ駄目だぞ。

これはあくまで、ルレイアが自分で考えた、ルレイア理論だから。

「風俗店経営のコツなら、俺に任せてくださいよ。良いですか、店で働く女は、一人ずつ味見してから店に出すべきですよ」

「あ…味見…?」

出た。ルレイア用語、「味見」。

普通の人だったら、味見と聞いたら、「え?料理の味見のことだろ?」と思うだろうが。

ルレイアの場合は違う。

ルレイア語で「味見」と言ったら…それは…その…。

…俺の口からは言えません。

「そんなの決まってるじゃないですか。その女と一回セックスするんですよ」

「せっ…!」

…言っちゃった。

「だ…駄目ですよ!そんな、働いてくれてる女性を物みたいに…」

「え?食べ物なんだから、食べて味を確かめるのは当然のことでしょう?」

「食べ物…!?」
 
なんか、もう。アレだ。

ルアリスが気の毒になってきた。

駄目なんだよ。ルレイア理論に毒されちゃ絶対駄目。

「ほら、場合によっては腐ってたり、賞味期限が切れてる場合があるでしょう?だからこそ、一度経営者が味を確かめて、美味しかった女だけを店に、もごもごもご」

「はいはい、もう黙ろうな。ルアリスに悪影響だからな。何なら、箱庭帝国の国民の皆様に悪影響だからな」

俺はルレイアの口を塞いで、強制的に黙らせた。

こいつに喋らせると、ろくなことにならない。

何が「ばっちり解決」だ。何も解決出来てねぇ。

むしろ、ルアリスを困惑させるだけ。

本当に、心の底から申し訳ないよ。