The previous night of the world revolution8~F.D.~

別に隠さなくても良いんですけどね。

正直が一番ですよ。正直が。

「ち、違うって。本当だよ、本当に私、おうどんだけを食べて…」

「じゃあ、焼き肉うどんですか?」

「そ、そんな訳…」

成程。まだ誤魔化すつもりですか。

なら、こちらも手がありますよ。

「…ちなみに、セカイさんが好きなのはカルビですか。ロースですか?」

「え、私?私はやっぱりカルビかなー。何なら豚肉も好き!」

「ほほう。美味しいですよね」

「そうそう!だからねー、お肉をしこたま焼いて、にんにくソースをたっぷりかけて食べて〜」

「成程。それは美味しそうですね」

「めっちゃ美味しかったー!シメにキムチ大盛りビビンバと、デザートにソフトクリームを食べてきちゃっ、あっ!」

…ふっ。墓穴を掘りましたね?

失言に気づいたのか、セカイさんは青い顔でこちらを見ていた。

「やっぱり焼き肉食べてきたんですね」

「は…は…。計ったな!?」

計ったも何も、匂いでバレバレですし。

「美味しかったですか?」

「もう!美味しかったよ!」

それは良かったですね。

「何でバレるのよー…。ちゃんとブレスケアタブレット食べたのにー」

濃厚な焼き肉の匂いは、タブレットくらいじゃ消えないんですよ。

洋服にも、匂いがしみついてしまっている。

洗濯して、お風呂に入らなきゃ消えません。

「別に隠さなくても、堂々と食べてくれば良いんですよ?」

セカイさんが美味しそうに食べてる顔って、そりゃもう眼福ですからね。

まぁ今回は見れませんでしたけど。

そんなに焼き肉好きなら、今度一緒に行きましょうか。

「だってー…。ルーチェス君がカップ焼きそばで済ませてるのに、私だけお肉食べて…。ビビンバまで食べてきたなんて…。なんか意地汚い子みたいじゃん…」

「意地汚くはないですけど、食い意地は張って、いたたたた済みません」

「は、っ、て、ま、せ、ん!」

鼻をぐいーっと引っ張られた。もげるもげる。

「僕は、たくさんもりもり食べる、健康的なセカイお姉ちゃんが好きですよ」

「そっかー!可愛い弟くん!よーしよしよし」

頭を撫でられた。嬉しい。

にんにく臭いですけど。

「たっぷりお肉を食べて、セカイさんのお腹にもたっぷりとお肉が…いたたたた」

「あら〜?今何か言ったかな〜?」

冗談、冗談ですよ。いえ本気でしたけど。冗談。

「もー…。ルーチェス君がカップ焼きそばなんて食べてると知ってたら、焼き肉テイクアウトしてきたのに…」

「気にしなくて良いですよ」

「でもね、お土産は買ってきたんだよ。私だけ外食して悪いと思って。ほら、デザート」

と言って、セカイさんは黒い紙袋を見せてきた。

…ん?この紙袋。見覚えが。

「じゃーん!見て見て。これね、今すっごい人気なお店なんだよ」

えぇ、知ってます。

「これ、『ブラック・カフェ』の袋ですよね」

「あれっ。ルーチェス君知ってるの?」

知ってるも何も。

今の僕は、亡命中のルレイア師匠に代わって、『ブラック・カフェ』の経営に手を貸している身ですからね。