The previous night of the world revolution8~F.D.~

ルレイアのダメ出しは、留まるところを知らなかった。

「は?これが教育学部のカリキュラム?舐めてるんですか。教育学部と言ったら、初等教育の他に、各科目の専門コースと、特別支援教育、そして教育学コース等、あらゆる学科、コース分けをするべきでしょう。それなのに初等教育学科しかないとは。小学校の教師しか育てないつもりですか?」

とか。

「は?ご立派な建物の癖に、図書室の広さはこれだけ?本棚がスッカスカじゃないですか。この貧弱な本の所蔵数で、歴史文化学部はどうやって論文を書くんです?本にせよ論文にせよ、先行研究を記した文献がないと、授業になりませんよ」

とか。

「は?学生食堂が一箇所しかない…?じゃあ学生は何処で昼飯食べるんですか。弁当持参してない学生は昼無しですか?学生の総数に対して食堂の席が少な過ぎます。これじゃあ昼休みに、学生同士で仁義なき席の奪い合いが始まりますよ」

とか。

「は?学生寮の門限は夜九時?それはいくらなんでも早過ぎるでしょう。それじゃ夜遊びが出来ないじゃないですか」

とか。

「は?低所得層の学生は全員学費免除?気持ちは分かりますけどね、気軽に学費免除枠をポンポン増やすものじゃありませんよ。精々無利子の奨学金貸与、くらいにしておきなさい。大学の経済が破綻したら、本末転倒じゃないですか」

とか。

…夜遊びはしなくて良いだろ。

ともかく、それ以外の指摘は、どれも辛口で鋭かった。

「…」

もうやめてやってくれ。ルアリスのライフがゴリゴリ削られていく。

「まったく、考えが甘いんですよ。考えが」

やれやれ、とばかりに首を降るルレイア。

「お前な…。少しは容赦してやれよ…」

鞭でしばくだけじゃ、人は成長しないんだぞ。

少しは褒めてやれ。飴を与えてやれよ。

「これも優しさですよ。『あー大学作って偉いでちゅねーよしよし』って褒めるより、思ってることをちゃんと指摘してあげる方が、箱庭帝国の将来の為になるでしょう」

ま、まぁそうなんだけどさ…。

だからって、もう少しルアリスの気持ちってものを考えてやって…。

「ごめんな、ルアリス。ルレイアがその…容赦ないことばっかり言って」

「いえ…良いんです。ルレイア殿の仰った通り、はっきり指摘してくれた方が助かります」

ルアリス、健気な奴だなお前は。

指摘するにしても、もう少しオブラートに包んで言ってくれよ、って文句言っても良いと思うぞ。

「今後の改善点として、肝に銘じておきます」

…そうか。偉いな。

ここで短気を起こして逆ギレせず、指摘を素直に受け止めるルアリスだからこそ、ルレイアもはっきり問題点を口にしたのかもしれない。

「それから…実はもう一つ、お願いしたいことがあって」

「はい?」

「これなんですけど…。ちょっと見てもらえますか?」

と言って、ルアリスが差し出したのは、一冊のファイル。

その中には、薄い冊子が入っていた。

冊子のタイトルは、『箱庭帝国国立大学 入学試験(案)』。

…これって、もしかして。

「入学試験ですか?」

「はい。今年実施予定の入学試験問題です」

…マジかよ。こんなの、俺達が見ちゃって良いのか?