その後も俺は、壁にもたれてボーッとしているフリをして、ルレイアがマリーフィアを口説くのを聞いていた。
ルレイアがそういう仕事をしているところ、初めて間近で見たけどさ。
なんつーか、やっぱりプロの為せる業って言うか。
…イケメンって、本当得だな。
クサい台詞の連続だが、ルレイアが言うと、まるで王子様の甘い言葉。
「ファーシュバル様は貴族ではないようですけど、今夜はどうしてここに?」
「そんな。他人行儀な呼び方はやめてくださいよ。是非、ルナニアと呼んでください」
「えぇと…それじゃあ、ルナニア様はどうしてこちらに?」
まさか、お前を落とす為だ、とも言えず。
「えぇ。自分は…先程壇上で演奏していたバイオリニストがいるでしょう?」
パーティーの余興として、ロベリア家に呼ばれたバイオリニストが、先程演奏を披露していた。
「えぇ。聴きましたわ」
「あのバイオリニストが所属する芸能事務所を運営しているんです。これ、名刺です」
ルレイアは、『R&B』社の名刺(勿論偽造)を差し出した。
「まぁ、そうだったんですの…。とても素敵な演奏でしたわ」
「そうでしょう?彼はベルガモット王家主催の国際音楽コンクールでグランプリを取得したことがあって…」
「あの有名なコンクールの?確か、ベルガモット王族が主催している…」
「えぇ。特別音楽が好きだったという六代目のベルガモット国王が創始して、毎年行われている国際コンクールです」
…凄いな。ルレイア…そんなことまで知ってんのか。
俺、そんな音楽コンクールのことなんて全然知らない。
話の引き出しの豊富さが、俺と段違いなんだよな…。
「マリーフィアさんは、音楽はお好きですか?」
「わたくしですか?わたくしは、バイオリンは弾けないのですけど、ピアノを少々…」
「ほう、ピアノですか。それじゃ、ユーミ・カナヤというピアニストをご存知ですか?」
「えぇ、知ってますわ。ルティス帝国出身のピアニストですわよね。一昨年の国際コンクールピアノ部門で、審査員特別賞を受賞した方…」
「彼も、『R&B』事務所に所属しているんですよ」
「まぁ、本当ですの?」
…そうなの?
俺も知らないんだけど、でもルレイアがそう言ってるってことは、そうなんだろう。
「マリーフィアさんがユーミ・カナヤをお好きなら、今度開かれる彼のコンサートにご招待しますよ」
「嬉しい。是非行きたいですわ」
「良かった。じゃあ、コンサートのチケットが手に入ったら、すぐにお誘いしますね」
早速、次に会う為の口実を獲得していく。
ちゃっかりしてんな…。
しかも。
「…でも、俺はユーミ・カナヤの演奏より、是非マリーフィアさんが弾くピアノを聴かせていただきたいですね。きっととてもお上手なんでしょう?」
「まぁ、そんな…。わたしくしのピアノは…趣味のようなもので…」
「またまた、ご謙遜を。あなたの奏でる音楽なら、きっとどんな音でも素敵ですよ」
「まぁ…」
…めちゃくちゃ露骨に口説いてるな。
背中、ぞわっ、ってなったんだけど。
マリーフィアも目をキラキラさせているから、あながち満更でもないらしい。
…予想以上にターゲットがチョロくて、そんなんで大丈夫か、と心配になってくる。
ルレイアがそういう仕事をしているところ、初めて間近で見たけどさ。
なんつーか、やっぱりプロの為せる業って言うか。
…イケメンって、本当得だな。
クサい台詞の連続だが、ルレイアが言うと、まるで王子様の甘い言葉。
「ファーシュバル様は貴族ではないようですけど、今夜はどうしてここに?」
「そんな。他人行儀な呼び方はやめてくださいよ。是非、ルナニアと呼んでください」
「えぇと…それじゃあ、ルナニア様はどうしてこちらに?」
まさか、お前を落とす為だ、とも言えず。
「えぇ。自分は…先程壇上で演奏していたバイオリニストがいるでしょう?」
パーティーの余興として、ロベリア家に呼ばれたバイオリニストが、先程演奏を披露していた。
「えぇ。聴きましたわ」
「あのバイオリニストが所属する芸能事務所を運営しているんです。これ、名刺です」
ルレイアは、『R&B』社の名刺(勿論偽造)を差し出した。
「まぁ、そうだったんですの…。とても素敵な演奏でしたわ」
「そうでしょう?彼はベルガモット王家主催の国際音楽コンクールでグランプリを取得したことがあって…」
「あの有名なコンクールの?確か、ベルガモット王族が主催している…」
「えぇ。特別音楽が好きだったという六代目のベルガモット国王が創始して、毎年行われている国際コンクールです」
…凄いな。ルレイア…そんなことまで知ってんのか。
俺、そんな音楽コンクールのことなんて全然知らない。
話の引き出しの豊富さが、俺と段違いなんだよな…。
「マリーフィアさんは、音楽はお好きですか?」
「わたくしですか?わたくしは、バイオリンは弾けないのですけど、ピアノを少々…」
「ほう、ピアノですか。それじゃ、ユーミ・カナヤというピアニストをご存知ですか?」
「えぇ、知ってますわ。ルティス帝国出身のピアニストですわよね。一昨年の国際コンクールピアノ部門で、審査員特別賞を受賞した方…」
「彼も、『R&B』事務所に所属しているんですよ」
「まぁ、本当ですの?」
…そうなの?
俺も知らないんだけど、でもルレイアがそう言ってるってことは、そうなんだろう。
「マリーフィアさんがユーミ・カナヤをお好きなら、今度開かれる彼のコンサートにご招待しますよ」
「嬉しい。是非行きたいですわ」
「良かった。じゃあ、コンサートのチケットが手に入ったら、すぐにお誘いしますね」
早速、次に会う為の口実を獲得していく。
ちゃっかりしてんな…。
しかも。
「…でも、俺はユーミ・カナヤの演奏より、是非マリーフィアさんが弾くピアノを聴かせていただきたいですね。きっととてもお上手なんでしょう?」
「まぁ、そんな…。わたしくしのピアノは…趣味のようなもので…」
「またまた、ご謙遜を。あなたの奏でる音楽なら、きっとどんな音でも素敵ですよ」
「まぁ…」
…めちゃくちゃ露骨に口説いてるな。
背中、ぞわっ、ってなったんだけど。
マリーフィアも目をキラキラさせているから、あながち満更でもないらしい。
…予想以上にターゲットがチョロくて、そんなんで大丈夫か、と心配になってくる。


