The previous night of the world revolution8~F.D.~

その後、俺とルレイアは、新しく出来たばかりの校舎の中に入らせてもらった。

「凄いな…。綺麗だし、広い…」

大学なんてろくに見たことのない俺は、その建物の広さにびっくりしていたが。

「ルティス帝国の地方の私立大学でも、こんなものですよ」

ルレイアは、相変わらず辛口の意見。

そ、そうなのか…。こんな綺麗な建物で勉強出来たら、学生達は幸せだろうに…。

「まず、医学部の学部棟に案内しますね。こちらに来てください」

と、ルアリスが案内した。

医学部だって。凄く頭良さそう。

埃一つ落ちていない、清潔な廊下を進み、真新しいエレベーターに乗って移動。

校舎にエレベーターがあるっていうだけでも、田舎者の俺にとってはカルチャーショック。

大学では普通なのかな…。皆、階段で移動するものだと思ってた…。

でも、この建物、どう見ても5階建て以上の広さがあるし。

いちいち階段で移動してたら、とんでもない時間がかかるよな。

それで、エレベーターが設置されているのか…と、感心しながら進むと。

「ここが、医学部の第一実習室です」

と、ルアリスは広い教室に案内してくれた。

第一実習室…ってことは、第二実習室とか、第三実習室もあるんだろうか。

そのだだっ広い教室は、さながら、ここだけ病院の病室みたいだった。

本当に病院に置いてあるようなベッドが、等間隔にいくつも並べてあって。
 
そこに、俺ではとても使い方の分からない医療機器が、たくさん置いてある。

どれもこれも清潔で、シミ一つない。素晴らしい衛生環境。

すげー…。初めて見た。本格的だな…。

…いや、実際にここで医師の卵を育てるのだから、本格的なのは当たり前なんだけど。

「入ってみても?」

「あ、はい。どうぞ。好きに見てもらって構いません」

だ、そうだ。

じゃあ、あの…お邪魔します。

ごめんな、学生より先に入っちゃって。

学生でも何でもないし、そもそも箱庭帝国の人間ですらないのに。

「へぇ…。凄い…」

さっきから俺、凄いしか言ってない。

完全にお上りさん。恥ずかしい。

しかし、ルレイアは特に物珍しそうにする様子もなく。

「ふーん…。成程…」

俺には使い方も分からない医療機器を、ルレイアは手に取って、じーっと眺めていた。

そして、一言。

「大したことないですね」

えっ…。

「設備は最低限、といったところですか。ルティス帝国の底辺医学部でさえ、この程度の設備は整ってますよ」

そ、そうなのか。俺は見たことないから分からないけど…。

医学部なんて、何処も同じじゃないのか。

建物が新しいから、設備も最先端だとばかり…。

そういう訳じゃないんだな。

「これ…最先端の設備じゃないのか?」

「ルティス帝国の医学部大学なら、五、六年前の設備ですね」

良いじゃん。五、六年前なら許してやってくれよ。

充分良い設備じゃん。と思うのは、俺の知識がにわかだからだろうか。

「新設の大学、それも国立大学なら、常に最先端の医療設備を整えておくのが当たり前ですよ」

「は、はい…。仰る通りです。これでも、かなり頑張ったんですが…」

箱庭帝国で揃えられる設備には、限度があるということか。

こればかりは…どうしようもないよな。