The previous night of the world revolution8~F.D.~

俺なんかは、もっと容赦してやれば良いのに、と思うが。

厳しく事実を指摘するのも、ルレイアなりの優しさなのかもしれない。

そう思って、俺は口を噤んでおいた。

「ましてや、ルティス帝国の大学生は、高校を出たばかりの18歳前後のガキが多いですからね」
 
大抵の学生は、高校を卒業して、そのまま大学に進学する学生が多いよな。

たまに、社会経験を積んでから、改めて大学に入り直す学生もいるけれど。

そういう学生は少数派であるらしい。少なくとも、ルティス帝国ではそうだ。

「学費を親が出しているケースも多い。親心としては、少しでも危険のある国に留学させたくはないでしょう」

「そう…ですよね」

ルアリスだって人の親なのだから、そこのところは理解出来るだろう。

「それに、どうせ留学するなら、最先端の学問を学べる大学を望むのが当たり前。現状、箱庭帝国は後進国として知られています。そんな国の、しかも出来たばかりの大学なんて、外国の人間は誰も留学しに来ませんよ」

「…はい」

ルレイアの鋭い指摘を、ルアリスは唇を噛み締めて聞いていた。

…ルアリスが、祖国箱庭帝国の悪いイメージを払拭する為に、色々と頑張っていることは知っている。

俺だって自分の目で見て、箱庭帝国は以前のような国じゃないことも知っている。

ルアリスのもとで、新しく生まれ変わったのだと。

だけど、それはこうしてルアリスと個人的に付き合いがあって、ルアリスがどういう人となりをしているかを知っているからだ。
 
もしルアリスを知らなかったら、俺は今でも、箱庭帝国に悪いイメージを抱いていただろう。

箱庭帝国に亡命しようなんて、絶対に思わなかったはずだ。
 
そう思うと、ルアリスが気の毒だった。

ルアリスは、こうして必死に頑張ってるのに…。

…世間一般的な印象としては、まだ箱庭帝国は「遅れた国」、「危険な国」だと思われているのだ。

ましてや、何も知らないルティス帝国の学生が、そのような国に留学したいと思うだろうか?

それでも、向学心と好奇心のある学生なら、箱庭帝国留学も考えるかもしれないが…。

…俺が親だったら、多分、自分の子を箱庭帝国に留学させたりはしないだろう。と、思う。

「ルアリス…。別に、お前が悪い訳じゃないぞ」

ルレイアに言いたい放題言われて、ショックを受けているに違いないルアリスに、俺はせめてもの声をかけた。

お前が頑張ってることは、俺もルレイアも、箱庭帝国の国民達も知ってるからな。

「はい…。分かっています。こればかりは…少しずつ時間をかけて、悪いイメージを変えていくしかないと思っています」

そうだな…。

長年かかって培われた負のイメージは、それ以上の時間をかけて、少しずつ払拭していくしかない。

「今すぐじゃなくても良い。何十年、例え何百年かかっても…いつか、箱庭帝国で学びたいと思う学生がたくさん来てくれるように…。諦めずに、努力していくつもりです」

「…そうか」
 
お前なら、きっとそういう国に出来るはずだ。

言葉には出さないが、ルレイアもそう思っているに違いなかった。