何であんなに大勢の女性(一部男性を含む)が、ルレイア・ハーレムの毒牙に引っ掛かってしまうのか。
その理由が、何となく分かったような気がする。
ターゲットを補足する、その速度が半端じゃない。
「…いるのか…?本当に…?」
「4時の方向を見てください。胸元にデカいリボンがついた、派手なピンクのドレスを着ている小娘がいるでしょう?」
「…」
ルレイアに指摘され、俺はさり気なく、時計を見る振りをして、言われた方向に視線をやった。
すると、確かにピンクのドレスを着た女性が、ソフトドリンクのグラスを持って、別の参加者と楽しげに談笑している。
あいつか…。
確かに、調査書の顔写真と同じ…ように見える。気がする。
「恐らく、あれがターゲットでしょう」
「良かった…。来てたんだな」
「そのようですね」
よし。第一関門は突破だな。
あとは、あの女をルレイアが口説き落とせれば、文句なしなんだが…。
「どうだ、ルレイア…。行けそうか?」
「ふっ、当然です。誰に言ってるんですか?あんな小娘一匹落とせないとあっては、俺はご先祖様に申し訳が立ちませんよ」
「そうか…。頼もしいが、別の意味でご先祖様に謝って欲しいな…」
「ちょっとルルシー。それどういう意味です?」
言葉通りの意味だよ。
それは良いから、気をつけて行けよ。頼むから。
「くれぐれも注意して、もし分が悪いと思ったらすぐに退くんだぞ。無茶はするな」
「分かってますって。じゃあルルシーはこの辺から見守っててくださいね」
と言って、ルレイアは余裕の笑みを浮かべて、マリーフィアのいる方に歩み寄っていった。
…ここから先は、俺は黙って見ていることしか出来ない。
パーティー会場で、何も持たずに突っ立ってんのもおかしいかなと思って。
適当に、ソフトドリンクのグラスを受け取って、目立たないように壁際に移動した。
その間に、ルレイアはマリーフィアにターゲットロックオンしていた。
お喋りが一段落したらしく、談笑していた女性達が傍を離れ、マリーフィアが一人になった隙が狙い目だった。
ルレイアは、万人を魅了する魅惑の微笑みを浮かべて、マリーフィアに話しかけた。
「ご機嫌よう。お嬢さん」
「…?ご機嫌よう」
ご機嫌ようなんて挨拶、リアルで言ってるヤツ初めて見た。
平民が言うと滑稽なだけだが、元貴族のルレイアが言うと、非常に自然な挨拶のように聞こえる。
「えぇと…失礼ですけど、あなたは?」
ルレイアの顔を知らないらしいマリーフィア。当然だ。
「あぁ、済みません。突然話しかけて…あなたがあまりに天真爛漫な、素敵な笑顔で微笑むのを見て…つい、話しかけてしまいました」
だってさ。
早速口説きにかかってるな…。
台詞だけ読んだら非常にチープと言うか、「何言ってんのお前」って感じだが。
そんなクサい台詞でも、今のルレイアが言うと、さながら少女漫画の王子様のようだった。
その証拠に、マリーフィアはドン引きするどころか。
「ま、まぁ。そんな…」
照れ臭そうに、頬を赤らめていらっしゃる。
…チョロっ…。
この仕事…思った以上に楽そうだぞ。
その理由が、何となく分かったような気がする。
ターゲットを補足する、その速度が半端じゃない。
「…いるのか…?本当に…?」
「4時の方向を見てください。胸元にデカいリボンがついた、派手なピンクのドレスを着ている小娘がいるでしょう?」
「…」
ルレイアに指摘され、俺はさり気なく、時計を見る振りをして、言われた方向に視線をやった。
すると、確かにピンクのドレスを着た女性が、ソフトドリンクのグラスを持って、別の参加者と楽しげに談笑している。
あいつか…。
確かに、調査書の顔写真と同じ…ように見える。気がする。
「恐らく、あれがターゲットでしょう」
「良かった…。来てたんだな」
「そのようですね」
よし。第一関門は突破だな。
あとは、あの女をルレイアが口説き落とせれば、文句なしなんだが…。
「どうだ、ルレイア…。行けそうか?」
「ふっ、当然です。誰に言ってるんですか?あんな小娘一匹落とせないとあっては、俺はご先祖様に申し訳が立ちませんよ」
「そうか…。頼もしいが、別の意味でご先祖様に謝って欲しいな…」
「ちょっとルルシー。それどういう意味です?」
言葉通りの意味だよ。
それは良いから、気をつけて行けよ。頼むから。
「くれぐれも注意して、もし分が悪いと思ったらすぐに退くんだぞ。無茶はするな」
「分かってますって。じゃあルルシーはこの辺から見守っててくださいね」
と言って、ルレイアは余裕の笑みを浮かべて、マリーフィアのいる方に歩み寄っていった。
…ここから先は、俺は黙って見ていることしか出来ない。
パーティー会場で、何も持たずに突っ立ってんのもおかしいかなと思って。
適当に、ソフトドリンクのグラスを受け取って、目立たないように壁際に移動した。
その間に、ルレイアはマリーフィアにターゲットロックオンしていた。
お喋りが一段落したらしく、談笑していた女性達が傍を離れ、マリーフィアが一人になった隙が狙い目だった。
ルレイアは、万人を魅了する魅惑の微笑みを浮かべて、マリーフィアに話しかけた。
「ご機嫌よう。お嬢さん」
「…?ご機嫌よう」
ご機嫌ようなんて挨拶、リアルで言ってるヤツ初めて見た。
平民が言うと滑稽なだけだが、元貴族のルレイアが言うと、非常に自然な挨拶のように聞こえる。
「えぇと…失礼ですけど、あなたは?」
ルレイアの顔を知らないらしいマリーフィア。当然だ。
「あぁ、済みません。突然話しかけて…あなたがあまりに天真爛漫な、素敵な笑顔で微笑むのを見て…つい、話しかけてしまいました」
だってさ。
早速口説きにかかってるな…。
台詞だけ読んだら非常にチープと言うか、「何言ってんのお前」って感じだが。
そんなクサい台詞でも、今のルレイアが言うと、さながら少女漫画の王子様のようだった。
その証拠に、マリーフィアはドン引きするどころか。
「ま、まぁ。そんな…」
照れ臭そうに、頬を赤らめていらっしゃる。
…チョロっ…。
この仕事…思った以上に楽そうだぞ。


