The previous night of the world revolution8~F.D.~

そうこうしているうちに、誕生日パーティー会場に到着。

俺はルレイアの後ろに侍るようにして、会場に向かった。

会場である大広間の扉の前には、いかめしい顔付きの受付係が、四人も立っていた。

それはまるで、貴族の当主達が集まるこの神聖な部屋に、部外者は決して入れないと見張り役を務める、番人のようだ。

迫力あるな…。俺、マフィアなのに、俺の方が臆してどうするんだ?

それなのに、ルレイアは。

「こんばんは。『R&B』社代表取締役の、アイズレンシア・ルーレヴァンツァの代理で来ました。ルナニア・ファーシュバルです」

涼しい顔で、いかめしい番人に声をかけ、招待状を差し出した。

「こちらが招待状です」

「拝見致します」

番人は相変わらず、表情一つ変えずに招待状にじっくりと目を通した。

俺は内心ドキドキしていたが、ルレイアは相変わらず涼しい顔。

今回、ルレイアはルレイア・ティシェリーではなく、ルナニア・ファーシュバルという偽名を使って、このパーティーに参加することになっている。

一部界隈では、ルレイア・ティシェリーの名前は有名だからな。

『青薔薇連合会』の幹部であるという素性がバレたら、貴族連中に警戒される。

そういう配慮から、あくまで今日のルレイアは、アイズの運営する『R&B』という芸能事務所の重役、ルナニア・ファーシュバルという設定で、ここに来た。

…で、俺はというと…。

「…失礼ですが、そちらの方は?」

いかめしい番人は、ジロッと俺の方を睨んだ。

思わず心臓が跳ね上がったが、ルレイアは全く気にしていない様子で。

「あぁ。彼はただの付き添いです」

何でもないことのように、さらっとそう答えた。

付き添いの入場は認められていない、と締め出されたらどうしよう、と思ったが。

「…そうですか。ようこそいらっしゃいました」 

いかめしい顔つきの番人は、俺を迎え入れてくれた。

ホッ…。

「ご苦労様です」

ルレイアはにこりと笑ってそう言い、そそくさと会場に入っていった。

さすが、堂々としたもんだな。

パーティー会場の入口で、早くも尻込みしている俺とは度胸が違う。

…っと、感心してる場合じゃないんだった。

俺はルレイアの後をついて、パーティー会場に足を踏み入れた。