着替えを終えた俺とルレイアは、早速、ロベリア家のご当主が誕生パーティーを開くという、○○グランド・ホテルに向かった。
ホテルに向かう道中、俺達は、アイズが調べてくれたカミーリア家の調査書に目を通した。
…アイズの調査書によると、現在カミーリア家の直系の一族は、三人。
当主である奥様と、娘が二人。
今回ロベリア家のパーティーに参加する予定になっているのは、この二人の娘のうち、二人目の次女。
名を、マリーフィア・ユール・カミーリアという。
「へぇ…。彼女、ルティス帝国総合大学に在学中だそうですよ」
調査書を見ながら、ルレイアが言った。
げっ…。
俺にとっては、正直二度と聞きたくない大学の名前だ。
嫌でも思い出すじゃないか。
ルティス帝国に、一時的に共産主義運動が蔓延っていた頃。
それを阻止する為に、ルレイアがルティス帝国総合大学に潜入していた…あの頃のことを。
危険に身を晒すルレイア達を、安全なところからバックアップするしか出来なかった、無力な自分を思い出す。
しかし、ルレイア自身は、そんなことは全く気にしてないらしく。
「ふーん。これなら、話のネタには困りませんね」
むしろ、ターゲットと自分の共通の話題を見つけたとばかりに、声を弾ませていた。
…何だろう。複雑な気分である。
「…気をつけろよ、ルレイア。調査書で読んだだけじゃ、この女がどんな人となりをしてるのかは分からない」
「ルルシー…」
俺は女を落とすなんて絶対出来ないし、むしろルレイアの足を引っ張りかねない。
俺はただ、ルレイアの横で見守っているだけで、何の力にもなってやれない。
せめてこうして、ルレイアの隣で、ルレイアを励ますことしか出来ない。
そんな無力な自分が、堪らなく腹立たしかった。
「危ないと思ったら、無理そうだと思ったら、すぐに退くんだぞ」
「大丈夫ですって。俺がこの手の仕事を始めて、何年経つと思ってるんですか?」
「分かってるよ。良いから聞け」
ルレイアの有能ぶりは、俺だってよく分かってる。俺が一番良く分かってる。
「今回は、相手が上級貴族なんだからな。くれぐれも気をつけて…。それから…俺に出来ることがあったら、すぐに、何でも言ってくれ」
「ルルシー…」
「約束してくれ。お前を助ける為なら、俺は何でもするから」
無力な俺が、ルレイアの為に出来ることと言ったら、このくらいしかない。
「…全く、あなたという人は…本当に心配性ですね」
「うるせぇ」
ルレイアは、ふっと笑ってそう言った。
笑い事じゃない。俺は真面目に言ってるんだぞ。
俺だってお前の相棒として、出来ることがあるなら何でもしたいんだよ。
「分かりましたよ。ルルシーに助けて欲しいことがあったら、すぐにそう言います」
「あぁ。そうしてくれ」
「じゃあ早速…。ルルシーにちゅーをしてもらえたら、お仕事頑張れそうな気がする」
「…良いか、ルレイア。俺は真面目に言ってるんだぞ…?」
「ちょ、冗談ですって。8割本気ですけど。そんな怖い顔して怒らないでくださいよ」
お前という奴は。
もう少し、緊張感というものを持ったらどうなんだ?
ホテルに向かう道中、俺達は、アイズが調べてくれたカミーリア家の調査書に目を通した。
…アイズの調査書によると、現在カミーリア家の直系の一族は、三人。
当主である奥様と、娘が二人。
今回ロベリア家のパーティーに参加する予定になっているのは、この二人の娘のうち、二人目の次女。
名を、マリーフィア・ユール・カミーリアという。
「へぇ…。彼女、ルティス帝国総合大学に在学中だそうですよ」
調査書を見ながら、ルレイアが言った。
げっ…。
俺にとっては、正直二度と聞きたくない大学の名前だ。
嫌でも思い出すじゃないか。
ルティス帝国に、一時的に共産主義運動が蔓延っていた頃。
それを阻止する為に、ルレイアがルティス帝国総合大学に潜入していた…あの頃のことを。
危険に身を晒すルレイア達を、安全なところからバックアップするしか出来なかった、無力な自分を思い出す。
しかし、ルレイア自身は、そんなことは全く気にしてないらしく。
「ふーん。これなら、話のネタには困りませんね」
むしろ、ターゲットと自分の共通の話題を見つけたとばかりに、声を弾ませていた。
…何だろう。複雑な気分である。
「…気をつけろよ、ルレイア。調査書で読んだだけじゃ、この女がどんな人となりをしてるのかは分からない」
「ルルシー…」
俺は女を落とすなんて絶対出来ないし、むしろルレイアの足を引っ張りかねない。
俺はただ、ルレイアの横で見守っているだけで、何の力にもなってやれない。
せめてこうして、ルレイアの隣で、ルレイアを励ますことしか出来ない。
そんな無力な自分が、堪らなく腹立たしかった。
「危ないと思ったら、無理そうだと思ったら、すぐに退くんだぞ」
「大丈夫ですって。俺がこの手の仕事を始めて、何年経つと思ってるんですか?」
「分かってるよ。良いから聞け」
ルレイアの有能ぶりは、俺だってよく分かってる。俺が一番良く分かってる。
「今回は、相手が上級貴族なんだからな。くれぐれも気をつけて…。それから…俺に出来ることがあったら、すぐに、何でも言ってくれ」
「ルルシー…」
「約束してくれ。お前を助ける為なら、俺は何でもするから」
無力な俺が、ルレイアの為に出来ることと言ったら、このくらいしかない。
「…全く、あなたという人は…本当に心配性ですね」
「うるせぇ」
ルレイアは、ふっと笑ってそう言った。
笑い事じゃない。俺は真面目に言ってるんだぞ。
俺だってお前の相棒として、出来ることがあるなら何でもしたいんだよ。
「分かりましたよ。ルルシーに助けて欲しいことがあったら、すぐにそう言います」
「あぁ。そうしてくれ」
「じゃあ早速…。ルルシーにちゅーをしてもらえたら、お仕事頑張れそうな気がする」
「…良いか、ルレイア。俺は真面目に言ってるんだぞ…?」
「ちょ、冗談ですって。8割本気ですけど。そんな怖い顔して怒らないでくださいよ」
お前という奴は。
もう少し、緊張感というものを持ったらどうなんだ?


