The previous night of the world revolution8~F.D.~

「ルレイア…。この店、腐ったバナナを売ってるぞ…」

絶対食べたら駄目な色だ。腐ったバナナなんて食べたらお腹を壊すに決まって、

「ふむふむ。甘くて美味しいですねー」

「おま、馬鹿っ…!」

あろうことか、ルレイアは試食の黒バナナをもぐもぐしていた。

「何やってんだ!こんな腐ったバナナ食べたら…!」

「腐ってなんかないですよ。ほら」

「はぶっ!?」

ルレイアが、試食の一切れを俺の口の中に押し込んできた。

ちょ、何をするんだ。

急いで吐き出そうとしたけれど、しかし、口の中に広がる瑞々しい甘さにびっくりした。

その味は、腐っているどころか、丁度食べ頃のバナナの味。

「ね?美味しいでしょう?」

「あ…あぁ…」

…これって、食べても大丈夫、なんだよな?

「これは腐ってるんじゃなくて、こういう品種なんですよ。シェルドニアマックロバナナっていう名前で」

「マジかよ…」

「他にも、シェルドニアピンクバナナとか、シェルドニアスカイブルーバナナっていう品種があるんですよ。ほら」

クロバナナの他に、ピンクのバナナや水色のバナナが、大量にコンテナに入れられて、売られていた。

ピンクのバナナ…。あれも食べられるのか…。

しかも大人気なのか、ピンクバナナや水色バナナの売り場には、たくさんの客が集まっていた。

一方黒バナナ売り場には全然お客さんが寄り付いてなくて、値段も他のバナナに比べて格安である。

「味は美味いのに…。安いんだな、黒バナナ…」

「シェルドニア人は、黒色が好きじゃありませんからねー」

「あ、そういうことか…」

それで黒バナナだけ格安なのか…。ルレイアにとってはお買い得だな…。

「じゃ、この黒バナナも10ケース、ルティス帝国宛てに購入します」

また爆買いしてるし…。

成程、『ブラック・カフェ』で使われている食材は、こんな風に売られていて、こんな風に買われてるんだな…。

「いつもはネット販売で購入してるから、実際に自分の目で見て買うの、初めてで楽しいですね」

「そうか…」

それで、ここが行ってみたかった場所なんだな…。

成程。納得。

「ルレイア…こうなったら、欲しいもの全部買っとけよ。こんなところまで来て買い物する機会なんて、滅多にないんだからな」

「そうですね。ありがとうございます」

こうなったら、俺も付き合ってやるよ。

…驚かされることは、たくさんあるけどな。

「じゃあ、次は他の売り場に行ってみましょうかー」

「お、おぉ…。次は何なんだ?」

「おっ。あれなんか良いですねー」

「ちょ、引っ張るなって…。…うわっ…」

俺は、とんでもないものを見てしまった。

例の、いつもの、アレであった。

…シェルドニア名物、ミミズペースト。

なんと、大きな壺に入れられて、量り売りで売られていた。

あのでっかい壺、中身全部ミミズペーストなのか?

思わず吐き気を催したが、さすがにシェルドニア王国の名物。

大勢の客が、列を為してミミズペーストを購入しようとしていた。

…シェルドニア人は皆、ミミズペーストが好きなんだな。

一家に一本必ずある、醤油とか味噌みたいなものなのかもしれない。